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2006/12/24

実名と報道(日本新聞協会)

 日本新聞協会というのは、一般紙・ラテ・地方紙が所属する任意団体(専門紙はワンクッション置いて所属)。そこの編集による、まぁ何というか論説集みたいになっているのが本書である。内容はタイトル通り、匿名公表が推し進められるなかにあって、いかに実名報道が重要であるかを説いたものとなっている。
 1つには、確かに個人情報保護法の制定がきっかけにはなっていたのだろう。「個人情報」とプライバシーとを混同する人のいかに多いことか。「匿名」の悪さ、「実名」の重要さを、数々の事例をあげながら切々と説いていく様は、確かに説得力がある。それは認めよう。だが……

 「はじめに」の最後に、国民に呼びかける件りが出てくる。
「私たちは皆さんに代わって、広く世の中のできごとに耳をそばだて、官公庁の仕事ぶりに目を凝らしたいと思っています。その成否が実名に大きくかかわっているのです。事件・事故の被害者になられた皆さんに、激しい取材攻勢でご迷惑をかけたことがあるのは認めます。反省して、トラブルをなくすよう、これからも懸命に努力します。ですから、どうか信じてほしいのです。私たちは常に皆さんの側に立っています」

 嘘だ、とは云わない。確かにそのような考え方に立っているマスコミ人もいよう。それは認める。しかし、残念ながらそれらの人々は、こう云っては申し訳ないが、一線を退いた、デスクやら解説委員やら論説委員やらのなかに多いのであって、現場で取材活動にいそしむような若い記者には、ほとんどそのような意識がない、あるいは発揮できない環境にある――そのように思えてならない。故に「どうか信じてほしいのです」と云われて、はい、そうですか、とはならない。なりたくない。確かに公表は可能な限り匿名を避けるべきだが、報道を実名でするか否かの判断を今の報道機関に求めるのは、とてもではないが信用できない。

 確か以前、本サイトでも指摘したはずだが、報道機関には資格など存在しない。極端なことを云えば、「私はマスコミです」と手を挙げた途端に、その人はマスコミである。ましてや今は誰もがメディアを持てる時代になった。何が真実かは個人の判断に委ねられている。法律としても、報道機関を規定する際には、「業として報道を営む」と出てくる。分かるだろうか? 所詮は商売なのだ。報道することで対価を得ているか否かが境界線だ。そこへポリシーやら何やら、珍妙なものを持ち込むから滑稽なことになる。信用できなくなる。「エエ商売しまっせ。実名つたえますから実名公表してや」と云われたほうが、よほど信用できる。いい加減、こういうおためごかしはやめたほうがいい。

 とはいえ本書は、「そういう考え方に立っている ヒマ人 崇高な人もいる」ということを知るには、絶好の書籍と云える。
 刊行もされているが、年明けには日本新聞協会サイトでPDFをダウンロードできるようになるそうだ。

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