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2007/01/02

大丈夫……か?

 知り合いが「仮面の忍者 赤影」のビデオを貸してくれた。何で5巻だけなのかは不明だが懐かしかった……と、云いたいところだが、ほとんど内容はおぼえとらんかった。横山光輝原作の東映制作による特撮作品で、調べたところ東映としては初のカラーTV作品、関西TV唯一の特撮作品(放送はCXだが、系列であって著作はあくまで関西TV)だそうだ。

 調べてみたところ放送は1967~1968年だから、リアルタイムではほとんど憶えているはずがないのだが、オレはたぶん夏休みなんかの再放送で見たんだと思う。内容は憶えてなくても主題歌うたえるもん。

 知り合いが何だって中途半端なものだけを貸してくれたのか知らんが、5巻に収録されていたのは最終回シークエンスだった。本作はだいたい1クールごと「〇〇編」という区分けがされていて、それぞれオープニングに入るナレーションによって大体のあらすじというか主人公たちの目的が語られるため、非常に入りやすい。5巻は最終(4クール目)魔風編の最後の4話にあたる。この4話のオープニング・ナレーションは「飛騨の国、影一族に伝わる黄金の仮面は、あらゆる忍者にとって憧れの的、栄光のシンボルであった。そしてまた、仮面には、莫大な黄金の謎が秘められているのだ。この仮面を奪い、忍者の王座を狙う者が現れた。怪忍獣を使う魔風雷丸である。立て、仮面の忍者、赤影参上」というもの。ほらね? 分かりやすいでしょ?

 プロデューサーの1人に東映の平山亨が名を連ねているあたり、ちょうど仮面ライダーとバッティングしていたことがよく分かる。ただし制作が関西TVだから撮影していたのは恐らく太秦がメインで、したがって撮影部隊は東京の仮面ライダーとバッティングしなかったのではないか。

 問題は脚本だ。

 普通、別に特撮ものに限らず、4クールもの間つづく作品であれば、複数の脚本家が交代で担当するものだが、本作の脚本家はただ1人、伊上勝である。1960~1970年代のTV特撮番組のほとんどにかかわってきた人物だけに、オレとしては馴染み深い……なーんてことを考えられるのは最近になってからのことで、当時はまさか1人の脚本家によって描かれていたとはついぞ思わなんだ。試しに伊上勝が脚本を書いた作品のほんの一部を列挙してみると、本作を除いても遊星王子に始まり、快傑ハリマオ、隠密剣士、怪人四十面相、悪魔くん、ジャイアントロボ、七つの顔の男、河童の三平 妖怪大作戦、特命捜査室、光速エスパー、仮面ライダー、妖術武芸帳、ガッツジュン、帰ってきたウルトラマン、超人バロム・1、変身忍者 嵐、人造人間キカイダー、仮面ライダーV3、イナズマン、ロボット刑事、スーパーロボット レッドバロン、仮面ライダーX、仮面ライダーアマゾン、仮面ライダーストロンガー、アクマイザー3、忍者キャプター、超神ビビューン、冒険ファミリー ここは惑星0番地、大鉄人17、宇宙からのメッセージ・銀河大戦、サイボーグ009、闘え! ドラゴン、燃えろ! アタック、仮面ライダー(スカイライダー)、仮面ライダースーパー1、がんばれ! レッドビッキーズ……などなど、となる。

 伊上勝という人は、早書きで知られており、過酷だったであろう当時の制作現場では重宝されたのではないか。しかしその早書きが、作品の質の低下を意味しなかったあたりが凄い……はずだと思っていた。その思いは、本作によって大きく裏切られる結果となる。

 例えば第9話(通巻48話)は、敵役・魔風側「魔風13人衆」の1人が、息子とともに赤影たちを襲う話なのだが、息子が青影と仲良くなってしまい、青影に説得された息子が父親を説得して寝返るという筋になっている。それは分からんでもないのだが、説得されたり寝返ったりという過程の描き方が、ぞんざいにすぎる。息子に「父ちゃん、この人たち(赤影・白影・青影)は悪くないんだ。本当に悪いのは雷丸(魔風)なんだ」と一言いわれた父親、「うむ、そうか」と簡単に寝返ってしまうというのは、いくら子ども向けでもぞんざいにすぎはしないか?
 青影がやる「大丈夫」ポーズは、確かオレも子どもの頃マネした記憶があるが、これが本作(5巻)ではほとんど登場しない。最終回になって思い出したようにてんこ盛りになる。まぁサービスといってしまえばそれまでだろうが…。

 そもそも5巻は正確に言うと最終回シークエンス4話がおさまっているわけではない。第9~13話(通巻48~52話)のうち、最終回直前の第12話(通巻51話)だけ抜け落ちている。ところが第11話(通巻50話)から最終回・第12話(通巻52話)まで、話上はつながってしまっている点に問題がある。じゃあ第12話はなくてもよかったじゃんってことだ。まぁ当時のことだから逆にそのような脚本の作りにしたことは賞賛されてしかるべきなのだろうが、見てるこっちゃ納得いくわけがない。

 ちなみに伊上勝の息子が井上敏樹。父親から脚本家と早書きのDNAを受け継いだものとみられる。息子のほうは、某社から『どけおれが歩く道だ 井上敏樹』と書かれたTシャツが発売されている。どうにかならんか。

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