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2007/01/19

ダ・ヴィンチ・コード

29

 見逃した作品をDVDでカバーしようシリーズ。

 うーん。あれだけ長い原作を映画化するんだから仕方ないか。恐らくはダン・ブラウンのあの原作を映画化する場合、2つのアプローチがあると思う。1つは、原作の「宗教的にショッキングな側面」を強調するやり方。もう1つは、原作の「ミステリー的な側面」を強調するやり方。ロン・ハワード(監督)は、というかアキヴァ・ゴールズマン(脚本)は、前者を選択したらしい。オレなら後者にするな。何ってったって映画なんだから。
 原作では冒頭、実在の組織名(オプス・デイ、シオン修道会)をあげた上で、「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」と出てくるがために物議をかもした。その真偽はともかく、シオン修道会に至っては秘密結社なんだから「実在の組織」と云われてもなあ。対して映画では、最後のスタッフロールでフィクションである旨をことわっている。であれば謎解きではなく単なるミステリーに徹してほしかった。

 というのも、オレ「エンゼル・ハート」のときも思ったんだけど、日本人からすると、そんなたいそうなことでもないのよ。これはもぉ宗教観の違いだね。手垢のついたエピソードをつなげて極上のフィクションを作ってみせた点は感心するが、エピソードそのものにはなーんも感心しない。だからこそ謎解きをちゃんとうまく見せてくれないと飽きちゃうのね。

 ルーヴル美術館で館長のジャック・ソニエールが殺される。その死体は、ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」にみたてた姿で発見される。しかもその姿は、死に瀕したソニエール自身が自ら模したものだった。つまり、銃で撃たれたソニエールは館内のあちこちを歩きまわって謎の詩文を書き残したりミステリを解く鍵を絵の裏に隠してからわざわざハダカになって「ウィトルウィウス的人体図」の恰好して死んだ、と。
 その報が、パリの書店で著書のサイン会を行っていた(原作ではホテル・リッツ)ハーバード大の宗教象徴学教授ロバート・ラングドン(トム・ハンクス)のもとにもたらされる。フランス司法警察のべズ・ファーシュ警部(ジャン・レノ)は、ソニエールの死に方に記号的な意図があるとにらみ、ラングドンに協力を要請するが、実はファーシュ警部にとってラングドンは第一容疑者。なぜならソニエールはラングドンと会う約束をしていたから。
 そこへ現れた司法警察の暗号解読官ソフィー・ヌヴー(オドレイ・トトゥ)の機転で現場を脱したラングドンは、ソフィーと2人でソニエールの真犯人捜しに出かけるのだが……。
 結果的にロン・ハワードが(というかダン・ブラウンが)描きたかった「秘密」とは、あくまで映画に限って云えば(以下、どうでもいいことではあるが、原作を読んでおらず、本作をミステリーとして楽しみたい方のために、一応伏せておく)、①イエス・キリストは実は結婚していた。相手はマグダラのマリア。②しかし事が公になると、後の教会の権威が失墜してしまう。③そこで教会側は事実を伏せ、マグダラのマリアを娼婦として伝承する。④当のマリアが身を隠してしまったため、教会側はとにかく女を殺せとなって魔女狩りを始める。⑤それでもマリアは生き延び、イエスとの間の子どもを残す。⑥教会はそれら事実を秘匿するため、テンプル騎士団の末裔であるシオン修道会を組織、代々関係者を殺しまくる。⑦だが最後のイエス×マリアの末裔はソフィーだった、という話。
 以上の事実(断っておくが1つとして定説になっているものはない)を解き明かすため、シオン修道会のメンバーだった(と、原作では書かれている)ダ・ヴィンチが残した「最後の晩餐」や「モナ・リザ」に秘められた暗号(これがタイトルの意)を解読していくのが、原作前半の盛り上がりなのだが、本作ではそこんとこアッサリ通り過ぎ、とにかく以上の事実がいかにショッキングであるかを強調するのだが、そぉかあ? 別にキリストに子どもがいようがいまいどうでもいいことだと思うのは日本人だからだろうな。「エンゼル・ハート」のラストでデ・ニーロが悪魔になって現れてもオレは爆笑しちゃったが、キリスト教圏の人はぞっとしたそうな。理解できん。喩えて云えば、昔の日本人が天皇の人間宣言を聞かされたようなもんか。

 といったように、話そのものに面白みがないため、ストーリーの緩急で勝負してほしかったのだが、惜しむらくはロン・ハワードもキリスト教圏の人だったってことかな。可もなく不可もなくな展開なので赤点とする。

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