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2007/02/07

ヒトラー 最期の12日間

50

 見逃した作品をDVDでカバーしようシリーズ。

 原題は「DER UNTERGANG」(滅亡)。
 第二次大戦末期、ソ連軍によるベルリン制圧下におけるナチス・ドイツ幹部らの終末を描いたヨアヒム・フェスト作の同名ドキュメンタリー(原題は『DER UNTERGANG:Hitler und das Ende des Dritten Reiches』=『滅亡:ヒトラーと第三帝国の最後』)と、トラウデル・ユンゲの証言を基にした映画化が本作である。
 トラウデル・ユンゲとはヒトラーの女性秘書の名。1920年生まれ。本作は彼女が22歳のとき(1942年)、「オーディション」でヒトラーの秘書に選ばれるところから始まるが、メインはいきなり飛んで、1945年4月19日から始まる。つまり、まさしくヒトラーが自殺する4月30日までの12日間が描かれるわけだが、本作の場合、そこまでにとどまらず、ヒトラー亡き後、総統地下要塞を脱出したナチス幹部たちのその後までしつこく描いていく。
 よくユンゲの視点からといった評価がなされているようだが、決して彼女だけの視点にとどまっていない。調べたところユンゲはヒトラーの秘書を務めていた当時、SS隊員と結婚する(ユンゲはダンナの姓。旧姓はフンプス)のだが、ダンナは1943年に戦死してしまう。このあたりは本作では一切描かれていない。

 何せ全編ドイツ語(当たり前だ)、監督(オリヴァー・ヒルシュビーゲル)、脚本(ベルント・アイヒンガー)はじめスタッフ・キャストのほとんど全てがドイツ人なため、オレの知らん人ばっか。ただ1人を除いて。そう、まさしくアドルフ・ヒトラーを演じたのが、ブルーノ・ガンツ。これがすごい。別にヒトラー本人に会ったことはないが、さもこんな感じだったんだろうなと思わせる演技(外見もそっくり)。ところが演出は、それを特別のこととして描いてはいない。最初に秘書のオーディションのためガンツが姿を現すシーンも、実にさりげなく、何の外連味もなく描く。よくぞ我慢した、という感じ。

 演出で感心したのはもう1つ。ともかく色彩・色調が鮮やかなのだ。通例こうした作品を撮る場合、不必要なくらい陰影を濃くしたものがほとんどだが、本作では実に鮮明に撮られている。それがまた逆に印象を強くさせる。舞台のほとんどが地下ではあるが、昼間の外のシーンはほとんど綺麗な青空だ。

 聞いたところ、さすがにベルリン市内で撮影できるわけがなく、ロケ地はサンクト・ペテルブルク(レニングラード)で、ドイツ兵エキストラのほとんどがロシア人だというのも皮肉な話。

 ユンゲ役はアレクサンドラ・マリア・ララ。本作で注目されたそうな。ウルリッヒ・マテスはゲッペルスそっくりだが、ユリアーネ・ケーラーはエヴァ・ブラウンに見えない。親衛隊の医者、エルンスト・ギュンター・シェンク(クリスチャン・ベルケル)という人物が、割と唯一の善人として出てくるが、史実を調べてみると農園建設のため100人の囚人を殺し、300人を人体実験で殺しているという。

 本作はドキュメンタリーではない。あくまでエンターテイメントだ。でないと必ず足下をすくわれる。往った復したでちょうど半分とする。

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