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2007/02/19

ディパーテッド

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 12日、上野東急にて鑑賞。よく考えたら初めての劇場だった(同じビルの1Fは上野東急2)。キャパ210で緩い入替制。従業員が2人(しかも両方ともやる気なさそうな野郎)は多すぎる。申し訳ないが劇場側の工夫が全くみられない姿勢。よくもまぁこんな劇場が残ってたこと。ただ単にシャシンをかけるだけの小屋なら不要も甚だしい。早く潰れてくれ。PAに難あり。空いてるのが助かるが、それはつまり劇場側の営業努力がなされていない何よりの証左である。東急はシャシンの心を忘れてしまったのか。オレがガキの頃、ロードショー初日で並んだのは必ず東急系(池袋とか新宿とか渋谷とか)だったぞ。気概がないのなら早くやめてくれ。

 ハリウッドにオリジナリティがなくなったと云われるようになって久しい。確かに本作は香港映画「インファナル・アフェア」3部作のリメイクではあるし、オレは元作を観ていないが、観なくても分かる。本作は単なるリメイクにとどまってはいない。純粋にマーチン・スコセッシ・フィルムになっている。しかも「タクシー・ドライバー」以来の懐かしいスコセッシ・バイオレンスが還ってきたような気がするのが嬉しい。

 警察と犯罪組織それぞれに送り込まれた〝ネズミ〟(アンダーカバー)の話。あとはもう内容に触れない。警察学校を優秀な成績で卒業し、就職したと思ったらいきなり覆面捜査官を命じられるビリー・コスティガンにレオナルド・ディカプリオ。逆に犯罪組織のボスに子どもの頃から見込まれ、警察内部に侵入するため警察学校に入るコリン・サリバンにマット・デイモン。巷ではこの2人の演技合戦が見物とされているようだが、オレにとってはどうでもいい。
 問題は、これが初(というのがフシギでならないが)の、スコセッシ監督作にジャック・ニコルソンが出るという事実だ。本来オレはオスカーにノミネートされた作品は観に行かない。まず例外なくハズレが多いからだ。どうしてものときはノミネート公表前に観に行くことにしている。今回は間に合わなかったが、スコセッシ作品のニコルソンと聞いては外すわけにいくまい。
 予想に違わず、ニコルソンの存在感はものすごい。役が犯罪組織のボス、フランク・コステロ役ということもあるが、少なくともディカプリオ&デイモンとは何の関係もない。間違いなくニコルソンだけの功績と云える。あえて云えばスコセッシの演出が凄いのと、脇を固める役者の豪華さによる。まず犯罪組織側で、ニコルソンの片腕フレンチ役にレイ・ウィンストン。州警の顔ぶれが豪華だ。ディカプリオとデイモンの直属の上司にあたるディグナムにマーク・ウォールバーグ、同じくエラービーにアレック・ボールドウィン。さらに上のクイーナンに、何とマーティン・シーン!
 これだけ脇を固めてあれば、確かにニコルソンが大暴れするのは当然だ。キャスティング的に難をあげれば精神科の女医マドリン役のヴェラ・ファーミガ。ディカプリオ&デイモンが惚れ込む相手にはとても見えない。日本で云うと西川史子みたいなエセ感をプンプン漂わせている。これじゃダメだ。

 ちなみに「Departed」とは「死者」の意味で、例えば1人の人間が死んだ場合、経歴書に押されるハンコが「Departed」だ。日本語で云えば無味乾燥に「死亡」とでもなろうか。
 脚本はウィリアム・モナハン。凄いと思うのは、本作は香港映画のリメイクのはずなのに、ちゃんと舞台がボストンでなければならない理由が明確になっている点。これが本作を「まるでオリジナル」のように見せている。何せジャック・ニコルソンが最後に来ているTシャツには「IRISH」と書いてあるのだ。
 キャメラワークのすばらしさは、スコセッシ作品なら文句のつけようがない。加えて云えば音楽(ハワード・ショア)が素晴らしい。これまたスコセッシ作品にはありがちだが、ストーンズの「ギミー・シェルター」、ピンク・フロイドの「コンフォタブリー・ナム」、ロイ・ブキャナンの「スウィート・ドリームス」などなど、ほとんどタモリ倶楽部に通じる引用がなされているのが笑える。

 何のテーマ性もないが、「あーおもしろかった」で終わることができる。こういうのをまさしく映画というのだ。くだらない理屈をこねくり回して、ようやく復調の兆しを見せ始めている日本映画を堕落せしめている若造どもは、こういう作品を観るように。

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