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2007/03/03

ドリームガールズ

12

 1日、東京・有楽町は日劇PLEX1にて鑑賞。すなわち「映画の日」に観た2本のうちの1本である。

 前から云っているが、オレのなかでは「掟」がある。1つ、おすぎが褒める映画を観るな。2つ、オスカー受賞作を観るな。3つ、パルムドール受賞作を観るな。4つ、金獅子賞受賞作を観るな。5つ、ベルリナーレ受賞作を観るな。
 え?「ディパーテッド」(アカデミー最優秀作品賞受賞)は観たじゃないかって? あれはオスカー受賞の発表前に観たからセーフなのだ。
 本作は上記の禁を2つ犯している。1つ、おすぎが褒めた。2つ、アカデミー最優秀助演女優賞(ジェニファー・ハドソン)を受賞した。
 でも観てしまった。何故ならオレはミュージカル映画が大好きだからだ。バンドワゴン、錨を上げて、踊る大紐育、南太平洋、雨に唄えば、ウエストサイド物語、サウンド・オブ・ミュージック、オール・ザット・ジャズ、コーラスライン、シカゴ、プロデューサーズ……。面白いことに舞台劇としてのミュージカルを、オレは観たことがない(唯一の例外が『レ・ミゼラブル』の第1回公演)。ところがミュージカル映画は数限りなく観ていて、まぁ昔はひょっとすると駄作もあったのかもしれないが、オレのなかでは「ミュージカル映画にハズレなし」が確立されている。

 初めてだ。ミュージカル映画で時計を気にしたのは。

 ミュージカル映画は大抵、筋(プロット)が単純である。何故なら科白をほぼ歌で表現するわけだから、そう複雑な設定を持ち込むことができない。したがって、いかに歌と踊りによって観客を楽しませることができるか――ここがミュージカル映画の肝になる。しかるに本作は……。
 なんでも、要するにダイアナ・ロス&シュープリームスをモデルに描かれた脚本がベースらしいのだが、オレが聴いた限りでダイアナ・ロス&シュープリームスの出世譚とは似ても似つかない。一部、ダイアナ・ロスではない人の話がダイアナ・ロス役(ではないが)に割り振られていたりする。まぁそこはフィクションだから仕方ないにしても、だったら話を面白くもっていくのが筋ってもんだろう。なんだ、あのラストは? ミュージカル映画で「はぁっ!?」という印象を持ったラストは初めてだ。「そこで終わりなの?」っつー感じ。
 個人的には、「あの頃」っぽい歌を聴くことができるのだろうなと期待して観たのだが、微妙に「あの頃」の歌とは異なる。なんつーか格闘技でいう「ゆらし」のような感覚で、気持ちよかったり懐かしかったりという感覚が浮かんでくる寸前で止められてしまう、寸止めみたいな感じ。これはもぉこの世代には拷問みたいなもんで、非常に不愉快だった。
 最初のオーディション風な舞台のシーンのカメラワークには感心させられた。まるで舞台のような感覚。あれは褒めていい。ところが途中からカメラワークは、まるで素人のような恰好になっていく。ともかく回る回る。止まらない止まらない。おまえは「MY GRADUATION」(SPEED)か!(断っとくがSPEEDのあの曲のプロモの倍以上のスピードでカメラがグルグル回るのである。落ち着かないったらない)。

 もとはブロードウェイのミュージカルで、それをそのまま映画化したものだそうだ。ジェニファー・ハドソンの役が本来の主役なのだが、中途半端にビヨンセ(名字がノウルズだと初めて知った)に主役を割り振ってしまったものだから、物語の軸がブレた。本作には主役が不在である。ジェイミー・フォックスは、とても「レイ」で主役を張った役者とは思えない。ビヨンセは声が張っていない。ジェニファー・ハドソンの歌が良いとの評価だが、あの程度の声の持ち主なら、ゴスペルをあたればいくらでもいる(『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』を観ろ!)。唯一ほめていいのがエディ・マーフィだが、もはや後の祭りである。ダニー・グローヴァーが久々に出てきたのにも驚かされたが、ジョン・リスゴウも久々だったな。2人ともさすがに歌わないが。
 130分という尺も、ミュージカル映画としては明らかに長すぎる。監督・脚本はビル・コンドン。こいつが諸悪の根源か。

 1つ、おすぎが褒める映画を観るな。2つ、オスカー受賞作を観るな。オレのなかにある「掟」を再確認するのに非常に役に立った。その意味では、有意義な作品であったと云えるかもしれない。むろん皮肉である。
 と同時に、「ミュージカル映画にハズレなし」の感覚が崩壊を起こし始めている。

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