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2007/06/23

台湾行⑤その1

 例によってC氏から連絡をもらって2か月。今回の台湾行も、詳細なスケジュールが判明したのは出発わずか数日前のことだった。しかも例によって現場でスケジュール変更の嵐。さすがC氏である。

 6月11日。今回も朝早い便であるものの、引っ越したお陰で成田空港との時間的距離が近くなり、前日泊が不要になった。といっても始発である。日暮里からスカイライナーの始発に乗り換えた。「Eチケット」なるシステムで、チケットの現物は空港で受け取ればいいのだが、出発2時間前にカウンターへ行かなければならない。故に始発になるわけだ。
 空港でN氏と待ち合わせてカウンターへ。今回は往復便ともチャイナ・エアライン。往路のみチケットをくれるので、復路のチケットを訊くと、やっぱり現地で帰り2時間前に受け取ってくれとのこと。リコンファームは往路便が現地に着いた段階で、自分で電話して確認してくれと云われた。日本語が通じる連絡先を教えてもらった。
 いったんカウンターを通ってしまうと、あとはもう2時間やることがない。現地に着いてからバタつくのは嫌なので、まず両替を先に済ませ、N氏はレンタル携帯の確保へ。それから空港内で朝食を摂った頃には、2時間なんてあっという間になっていた。
 オレは免税店でタバコを買う作業が残っていた。毎度のことなのだが、タバコ税がない分、国産タバコは関税を払っても非常に安い。ただし帰りに買ってこようにも、どういうわけか現地の免税店にはオレの好きな銘柄がないので、行きに買うことにしている。持ってけるギリギリの2カートン。N氏はC氏へのおみやげを買いに。
 その頃になってもまだ携帯の電源を落としていなかったのだが、奥さんからメールが入る。「サスペンダー、金属探知機だいじょぶだった?」
 オレは社会人になる前後から、ずっとサスペンダーで通している。ベルトはしない。ところがこのときになって初めて気がついた。オレ、サスペンダーしてない!? でも何の問題もなかった。あーはいはい、太ったんですよだ。

 さて、今回のチャイナエアラインは、最終的な行き先が台北ではない。台北で乗り換えて高雄まで行かないといけない。ここがちょっと不安だった部分なのだが、まぁ何とかクリアした。面白いのは、入国審査は高雄だけで受けるのに、金属探知機は台北でもくぐらなければならない。二度手間だと思うがなあ。
 無事、高雄に到着。心配していたバッゲージも、さほど待たなかった。台北から高雄の便が小さい機体なため、そもそも荷物の総数が少なかったこともあろう。

 高雄の空港に迎えに来てくれていたのは、役所の人と農家の人。そう、この時点ではまだ、C氏と再会してはいないのだ。
 日本の旧食糧庁にあたる「農糧署」は、4つの「區」ごとに「分署」がある。そのうち「南區」の「分署長」が、迎えに来てくれた役人。もう1人の農民というのは、去年の仕事のときにお会いした人。台湾では(二期作なので)年に2回、米づくりの「冠軍」(チャンピオンの意味)を決めるためのコンテストをやっていて、昨年の2期目の冠軍に輝いた人が自らお迎えにきてくれたわけだ。そこから車で延々はしって仕事場所へ。台湾には日本の都道府県と同じように「縣」があるのだが、そのうち台南縣の後壁郷というとこが仕事先。「郷」や「鎮」というのは日本の市町村にあたる。

 仕事を終えた夕刻、後壁郷の関係者が集まって夕食会。そこへようやくC氏が合流してきた。「久しぶりだねー。ハハハ」
 C氏はもともと、農糧署の役人。それが昨年秋、突然異動になった。異動した先は、屏東縣にある施設の長。屏東縣というと高雄縣の隣。つまりC氏が動きやすいように、我々も今回、台北ではなく高雄に着と相なったわけだ。
 その夕食の席に、「偶然」台南縣の縣長(県知事)が登場。一緒に夕食となった。「日本じゃ県知事が庶民と気さくに夕食をともにすることなんてないでしょう。ハハハ」とC氏。確かにね。このへんは国民性の違いだ。日本じゃ役人や議員なんて壁の向こうの存在だが、台湾ではある種のタレントみたいな扱いになっている。政策よりも人気が優先。だから庶民とも気さくに夕食をともにすることがあるわけだ。

 夕食後、オレとN氏、さらにC氏とその運転手は、近くの「温泉旅館」に泊まる手筈になっていた。台湾には3大「温泉地」があるんだそうで、そのうちの1か所が南方にある。
 通された旅館の部屋は豪華の一言。後で訊いたら日本円で1泊3万円するそうな。オール檜の室内は、まず玄関を入ってすぐにソファなんかの休憩スペースがあり、仕切りの向こうがベッドルーム(ダブルベッド)。さらにその向こう、ガラスで仕切られた先に内風呂がある。石づくりのバスタブに、蛇口を捻ると温泉の湯(泥湯)が出るという仕掛け。これだけ豪華な部屋に、1人ずつ泊まるそうな。

 何せ初日だ。オレも疲れてた。ともかく風呂に入るべぇと蛇口をいっぱいに開き、手前のベッドルームでボーッとテレビなんぞ見ていた。こっちのテレビはチャンネルが100以上あって、なかには日本のドラマやバラエティ(何か月か遅れだが)をやってるチャンネルもある。それをベッドに腰掛けてボーッと見ていたんだが……。
 ふと気づくと、何か足下が冷たい。なんじゃと周りを見回してみると、部屋中の床が泥湯であふれていた。つまり出しっぱなしにしていた風呂の蛇口から出ていた泥湯が、風呂場どころかベッドルームまで浸水してたわけね。慌てて床の上をジャバジャバ移動して風呂の蛇口を閉め、ついでに栓も抜いた。風呂場にはちゃんと排水口があるんだが、蛇口をいっぱいに開けておくと排水量よりも多い泥湯が出てくるものらしい。
 再びジャバジャバいわして、とりあえずベッドに座る。だってどうしようもねぇもん。フロントに云うべきか否か、迷っていたオレは、第三の道を選んだ。現実逃避である。
 そもそも疲れてたんだよな。足下でジャバジャバやりながらベッドに座ってテレビを見る。これが小一時間も続いたろうか。ふと気づくと、水が少しひいているのが分かる。「あれ? これはひょっとすると……?」。床も檜のため、すごい勢いで水を吸ってくれていたものらしい。1階で良かった。2階だったら大変な事態になってたとこだ。
 こりゃいいやということで、改めて風呂に入りなおした上で、もういいやとばかりに寝てしまった。

 翌朝、目が覚めてみると、ベッドのまわりの床は、きれいに水がひけていた。いや、良かった良かった。多少は水たまりみたいになってる部分もあったが、そこはバスタオルで拭き取った。ただ……誤算だったのは、流れたのがお湯ではなく泥湯だった点だ。確かに水気はなくなっていたが、床にはまだら模様が残った。
 ……見なかったことにする。

 その日、奥さんに宛てたメールには、「ポセイドン・アドベンチャー」と記した。

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