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2007/06/28

台湾行⑤その5・Ⅰ

 6月15日。実はこの日が、過去5度にわたる台湾行のなかで最も思い出深い日になろうとは、当初は全く予想していなかった。

 朝5時。ホテルに迎えに来たのは、S氏という人物。C氏が異動する前の元・部下で、我々も何度もお世話になっている。外見は30代半ばくらい、ひょろっとした頼りない人物に見える。もちろん日本語は話せない。S氏が運転する車で、一路、空港へ。空港といっても国際空港のほうではなく、国内線の空港のほう。台北市内から30分ほどで着く。
 なんでも、6月19日が旧暦の端午の節句だそうで、その日を含む前4日間(つまり6月16~19日)は、土日であるか否かに関係なく連休になるのだそうだ。日本で云えばゴールデンウィークみたいなもんか。するとこの4日間は、あちこち観光に行ったりする人でごったがえす。なので、前の15日に休みをとって出かける人も多い。ということで、本来であれば午前9時台の便でもよかったのだが、飛行機の予約が満杯で、やむなく午前6時台の始発便しかなかったがために、我々は朝5時から眠い目をこすりながら空港へ向かったわけだ。
 割をくったのはS氏だ。彼は我々の運転手役を仰せつかったもんだから、何と3時半に自宅を出て、我々を迎えにきてくれている。いや、申し訳ない。

 前にも云ったが、台湾国内の移動は航空機が主流だ。1つには、軍港と空港が一緒になっていることもある。実は台北の国内空港も、軍港との共同運用だ。そのせいか、国内を移動するのにもかかわらず、身分証明書が必要。我々外国人は、常にパスポートを携帯している必要性にかられる(実は以前の台湾行でホテルに置いてきたことがある)。
 観光客でごったがえす台北空港を後に、飛行機は一路、台東へ。待っていたのは、C氏が用意した「通訳」だった。

 確か最初に名前を聞いたはずだが、名刺も持ってないんで忘れちゃったよ(後で訊いたらN氏も憶えてなかった)。ともかくオバハンだ。農糧署の役人でもなく単なるボランティアだそうだ。とうとう素性は分からなかったな。通訳といってもカタコト。猫娘よりナンボかマシな程度。専門用語なんか分かるわけがない。つくづくC氏の偉大さを思い知らされた。
 愚痴ってても始まらない。ともかく近所で朝食を摂った。これが……変にウマい。中途半端な時間だったんでそう食べたわけじゃないんだが、なんかハルサメみたいなのとオニギリみたいなの。それから何とかいう野菜の炒め物も食べた。メニューを見てたら価格が出てるんだが、これが安いのなんの。大抵のメニューが20元とかなの。C氏につきあってると、何せやたらと高級なものしか食べられないが、オレにはこういうほうが性に合ってる気がした(N氏も後に同感だと述べている)。
 台湾の貧富の差は激しい。日本が格差社会などと云われているが、そんなもの比べものにならない。確か所得格差は9倍くらい開いているはず。で、C氏みたいな富裕層と、S氏みたいな庶民とでは、当然たべるものも違ってくる。オバハンだって同様だろう。そういうことを実感させられた。

 仕事のことは、もうどうでもいいや。ここでも2か所まわったんだが、特筆すべきは昼食だ。

 S氏とオバハン、それから午前中の仕事先関係者が集まって昼食と相なった。台湾ではともかく昼食を大事にする。2時間くらい平気で飲み食いする。ただ、さすがに上流階級の方々は昼間から酒は呑まない。今回は違った。いきなりビールが出てた。
 んで食べ始めたんだが、これが楽しい楽しい。オバハン、余計なことまでどんどん訳してくれるから、こちらとちゃんと会話が成立しているのだ。
 これまでC氏につきあっていて、何となく感じていたことが分かったような気がした。C氏が会食の相手に選ぶのは、C氏とつきあいのある人か、関係者でもややC氏よりは地位の低い人々。最初のほうこそ気を遣ってくれてるが、向こうの方々にしてみればC氏と呑むことに意義があるのであって、日本から来たおっさん2人なぞどうでもいい。C氏にしたって彼らと話すのが楽しいのであって、いっこうにこちらに訳してはくれない。仕方なくこちらは沈黙を守るしかなくなる。飲み食いするのだって限界がある。日本人同士だけで会話するのもやはり何か気まずい。そういうことが分からないのも国民性というべきか。
 今回の昼食は、初めておいしいと思った。楽しいと思った。S氏が実はN氏とタメ(ってことはオレより遙かに上じゃねぇか)ってことも分かったし、実は若い頃かなりやんちゃしていた人物であることも分かった。
 普通、台湾では、室内に一歩足を踏み入れたら例外なく禁煙なのだが、何せイナカのほうだから、あんま関係ない。驚いたことにS氏がタバコを吸い始めた。それならオレもお相伴にあずかろう。オバハンに断って吸い始めたら、お互いにタバコの交換会になってしまった。
 関係者の1人が30代半ばくらいなのだが、「日本の女性と結婚するのが夢だ」と云いだした。「年上でもいいんなら紹介するけど?」とふると、連絡先を教えてくれとしつこくつきまとわれたのには閉口したが、それだって楽しくってしょうがない。
 ことに日本人っていう人種は、目で食事しているようなところがある。なるほど、呑みにこれほどコミュニケーションが必要だったとは思わなんだ。

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