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2007/07/28

時をかける少女

 21日にCXで放送されたものを録画、後にDVDで鑑賞。

 オレは筒井康隆の奇跡のジュブナイル(例えば太宰治の『走れメロス』などがこの表現にあたる)も30年近く前に読んでいるし、(『タイムトラベラー』名義のNHK作品は観ていないが)大林宣彦版、というか原田知世版の映画作も当然観ている(一部の人の間では、原田知世ファンにあらずば人にあらずとまで云われていた時代が確実にあったのだ)。そのオレにしてからが、本作の話の展開のさせ方には驚かされた。

 話は、原作の20年後、という設定。原作の主人公・芳山和子は脇にまわっており、その姪・紺野真琴が主人公。ただし和子のややおとなしい性格に対し、真琴の性格はむちゃくちゃ。これが、ある種のテーマにもなっている。
 原作と同じように(和子と同じように)真琴も間宮千昭と津田功介という2人の男子とツルんでいる(原作でいうと深町一夫と浅倉吾朗ですな。映画版のみ堀川吾朗……ってのは、ロケ地の醤油屋さんが堀川っていう屋号だから)。つまり原作の20年後といいながら、ちゃあんと原作と同じ轍を踏む話になっているのである。
 原作ではタイムリープが何だか分からないうちに起こっていたが、本作の場合はきちんと説明されている。理屈が通っているのだ。理屈が通りすぎているきらいがあって、「跳ぶ」前と後で「慣性モメントが残る」(例えば時速10kmで走ったままタイムリープすると、タイムリープした先でも時速10kmの慣性が残っている)というSFではお馴染みの設定を持ち込み、いや、それはそれで面白いのだが(本作の真琴は常にタイムリープした後ころがっている)、やややりすぎの感がないでもない。ただ真琴のタイムリープ能力の使い方は、実にくだらない。妹に食べられたプリンを先回りして食べたり、遅刻した日に時間通り登校し、設問の内容を知っている抜き打ちテストで満点を取る。実に平和なのだが、この平和さ加減が、逆に後のほうの切なさと対比になって盛り上げる。
 本作での芳山和子は、映画版で云うと、ちょうどラストシーンが終わった後、ケン・ソゴルと「再会」する前の頃という設定で、美術館(東京国立博物館)で絵画の修復なんぞを生業にして静かに「待っている」。でも姪の真琴は待たない。「あなたは待ち合わせに遅れてきた人がいたら、迎えに行っちゃう人でしょ」との指摘は、なかなかなコントラストになっている。
 長々と描いてはいるが、実はほんの数日の間をいったりきたりしていただけ、というオチも原作通り。ただ、この時間観念の使い方は……まるで押井守のようだと感じた。ちょうど「うる星やつら2~ビューティフル・ドリーマー~」みたいな感じ? と思ってたら、本作の監督は細田守。おお、なるほど。細田守といえば、押井友絵(押井守の娘)と乙一(安達寛高)が結婚したときの披露宴で流れた新郎新婦の映像制作を担当した人物ではないか!(赤の他人です)。「ハウルの動く城」監督交代事件(実はこの作品、当初は2003年春に細田守監督作として公開の予定だったが、ジブリ側とのトラブルによって降板、2004年秋の宮崎駿監督作となってしまった。以後、細田守は、業界から敬遠を続けられたと聞いている)からよくぞ立ち直ったものだ。

 脚本は相米慎二の弟子、奥寺佐渡子。キャラクター設定はえばんげりおんの貞本義行。音楽が素晴らしいんだが、吉田潔って聞いたことないわ。
 声のほうは、真琴の声をやった仲里依紗はモデルだそうだ(ウルトラマンメビウス第40話『ひとりの楽園』に、いぢめられる女子高生役で出てくる)。この娘はいいとして、オレは最近の若い声優さんを知らないのだが、間宮千昭の石田卓也、津田功介の板倉光隆。この2人が非常に素晴らしい。いやもぉ、手放しで絶賛しておこう。……と思ったら、石田卓也のほうは役者さんだそうな。いやね、アニメーションというより、2人ともちゃんと人間の声をアテられる演技してるなあって思ったのよ。最近の若い声優さんにしちゃ珍しいやね。
 その他、調べてみたらプロの声優さんは板倉光隆くらいで、他の声の出演はほとんど役者かタレントらしい。芳山和子に原沙知絵。……わかってるね? そこは声があっていようがいまいが、やっぱキャスティングミスでしょ?>角川

 全般になかなか楽しめたが、この時期に「時をかける少女」をアニメーションでリメイクしようってのは、どういう発想なんだろうか? 角川ヘラルドのひらめきか、はたまたマッドハウスの陰謀か。たまたま当たったからいいけど、マーケティングはきちんとやったほうがいいよ?

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