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2007/11/11

ULTRASEVEN X Episode6 "TRAVELER"

 前にも書いたが、完全な1話完結の脚本家バラバラ、したがって一応シリーズ構成というか基本設定があるにはあるが、割とそういったことにとらわれず、毎話の脚本家が自由に独立した話を作っていくことができる――ちょうどウルトラマンマックスと同じ手法だ。あのときは前後の制作環境からやむなくとった策が思いがけず当たったのだし、その分、という云い方も妙だが、次のメビウスに全力を注ぐことができ、しかもそれが大成功した、のは記憶に新しいところ。それは稀有な成功例なのであって、普通に考えれば連続ドラマで基本設定の軽視というのは、本来致命傷だ。本作はどうもそちらの部類に入るような気がしている。
 とはいえ、この方式の利点は、総体として出来がよくなくても、単話として観ればケッサクが誕生する局面もありうる、少なくとも可能性はある、という点にある。ちょうど今話が、そのバイオリズムの波が上のほうの曲線にあった話ではないか。
 ちなみに監督が梶研吾で、脚本が小林雄次。ともにマックスのスタッフだ。わずか1クール/12話の作品で、早くも折り返し点にきた今話、主人公・ジンの記憶が戻りそうで戻らなさそうなじれったい話(AQUA PROJECTというキーワードをチラリと出してみせるが説明はない。こういうチョイ出し方式は東映/平成仮面ライダーの十八番かと思ってたが、円谷でもやるのね。それとも吸収合併の前触れかしらん?)が展開されるが、本題は全く別のところにある。

 主人公は、何やらキーボードを叩く企業(IT企業を表現してるのか? だとしたらあまりにも稚拙にすぎる)で働くタカオ。日々の仕事に疲れ切り、会社帰りに立ち寄るバーの女性を相手に、宇宙への妄想を抱く毎日。
 一方、このところ「光の人魂」と称される未確認飛行物体の目撃事件が相次ぐ。光は人を襲うが、突き抜けるだけで何ら害はない。DEUSの3人のエージェント、ジン、ケイ、エスは、早速調査を開始するが、その途中、ジンがタカオと出会う。タカオは、記憶をなくす前のジンと、いつものバーで会っていたのだ。
 数か月前、タカオはバーでTVを観ていた。やっていたのは宇宙開拓を扱った古い映画。タカオはその映画を何度も観ていて、セリフをそらんじられるほどになっていた。「この生命が続く限り、宇宙の深淵をめざす勇気と探求心。それこそが……」その後に続くセリフをひきとったのは、隣に座っていたジンだった。「知的生命としての根源的な欲求ではないか!」
 自分の記憶にない頃の自分に会ったことがある人物との再会に、ジンの心は穏やかではいられない。そんな頃、光の目撃談がピタリとやむ。最後の目撃場所は、再会したタカオに教えられた住所の近く。思うところがあってタカオの家を訪れたジンは、すでに光に取り憑かれたタカオを発見する。
 光の「意志」が語りかけてくる。曰く、高度に発達した文明を誇った我々だったが、故郷の星を失い、ずっと宇宙を旅してきた。そのうちに同胞を1人ずつ失い、ついには最後の1人になってしまった。それでも私は諦めない。まだ旅を続けたい。しかし高度に発達した故、光のカタマリでしかない私の肉体はもはや限界だ。そこで辿り着いたこの星には、無数の「器」がある。ここ数日、さまよっていたが、ようやく最適な器に巡り会うことができた……。
 ジンはすぐさま排除しようとするが、止めに入ったのはタカオ本人だった。
「オレは選ばれたんだ…」
 子どもの頃から夢みていて、しかし叶わなかった宇宙への夢を、こんな偶然から実現することができる。「行かせてくれ」
「この生命が続く限り、宇宙の深淵をめざす勇気と探求心。それこそが、知的生命としての根源的な欲求ではないか」

 話を聴いて分かるかと思うが、今話がウルトラセブンである必然性はどこにもない。むしろウルトラセブンという枠は、かえって足枷になってしまっている。事実、こういう話なら一度も変身後の出演がなくても成立するし、そのほうが話としてスッキリもするのだが、何やら制約があるのか、それとも単なる演出の趣味か、ジンはわざわざウルトラセブンに変身し、タカオと光を乗せた宇宙船を見送り、敬礼してみせるのである。いや、自分の記憶にない頃の自分に会ったことがある人物の旅立ち、別れを、同じ宇宙人として見送りたいという意図は分からないでもないが、明らかにストーリーからすれば蛇足である。

 ジン、ケイ、エスの妙な掛け合い(フィックス=固定したカメラの前で役者側がカットイン&アウトを繰り返す)など、鼻につく映像もないではなかったが、今話に限っては及第点を与えたい。何より話がまとまっていたから(蛇足は別にして)。そうしてその要因は、何よりゲストキャラクターのキャスティングに負うところが大きい。
 タカオを演じるは、「仮面ライダー555」のヘビフェノク、唐橋充。動と静の使い分けがこれほどうまいとは思わなかった。そして、忘れてならないのが、タカオが通うバーの女性バーテンダーを演じた及川奈央。ウルトラマン史上、現役であれ元であれAV女優が出演したのは初めてではないか?(メビウスに美保純が出てたことはあったが、あの頃はAVじゃなくポルノ映画だったから微妙に違う)。しかも及川奈央、割と演技がマトモなのである(達者とまでは云わない)。しかもカウンターを挟んでヘビフェノクと会話しているシーンなんか観てると、ついついラッキークローバーかと思っちゃうぜ。

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