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2008/10/20

崖の上のポニョ

 今んとこ今年ベストワン。

 宮崎駿がかかわった作品を初めて見たのは、恐らく「太陽の王子・ホルスの大冒険」だったと思う。以降、おもしろいと思ったアニメーションには、大抵彼がかかわっていた。一般にアニメーション監督として、その名が知られるようになったのは、恐らく「風の谷のナウシカ」以降のことだろう。だが、それは同時に、彼が彼らしい作品を作れないような環境(大人の事情)を生み出すきっかけにもなりはしなかったか。

 いや、おもしろかった。たぶん宮崎アニメでおもしろいと感じたのは、「となりのトトロ」、「紅の豚」以来のことではないか。それら以降、現在に至るまで、心底おもしろいとは思っていなかったはずだ。

 本作は、簡単に言ってしまえば「海版トトロ」だ。

 何より絵が動くことの楽しさを実感できる。アニメーションという単語が本来もつ意味を体現したような作品だ。CG全盛の時代にセルにこだわるというのも気に入ったが、背景が色鉛筆、スタッフロールを廃し、全スタッフ・キャストを役名なし五十音順で宮崎駿自身が手書き。このへんに「楽しんで作ってるなー」感が漂う。状況描写としても、「船の街」の描き方が巧みだし、アニメーションで最も難しい表現である火と水、特に波の描写は、素晴らしいの一言。しかし、何よりオレが感心させられたのは、母親(声=山口智子)の科白だ。「なんか今日はいろいろ不思議なことがあったけど、とりあえずお茶にしましょう」。すごい。ストーリー・テリング上、ものすごい変化球かつ直球である。この瞬間、観ている側は納得させられてしまうのである。「ああ、それでいいんだ」と。

 謎を放っとくのはよくない。よくないが、こういう「一時保管」の手法もあるのだ。分かったか? 井上敏樹。

 本作は、小さい子供には人気があり、小学校高学年くらいから高校生くらいまでには人気がなく、大人には絶大な人気があるそうな。なるほどな。それはよく分かる。成熟していない子供には放っておかれる謎、理屈にあわない展開が我慢ならんのだろう。それを受け容れるだけの度量が未だ備わっていないのだ。そりゃ仕方ない。子供だから。余裕ある大人こそが楽しめる作品。うーん。やるな。

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