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2008/11/08

死に花

 CS「日本映画専門チャンネル」を録画して鑑賞。

 舞台は高級老人ホーム。意外なほど落ち込んでもおらず、面白おかしく暮らしている老人たち。そこには恋愛すらある。そのうちの1人、藤岡啄也(断っとくが生前の作品である)は、やがて訪れるであろう死を前に、自ら棺桶を発注したり葬式の演出を練ったりと余念がない。もちろん恋愛も。加藤治子とどうにもいい仲だったりする。そんな姿を、山崎努、谷啓、青島幸男、宇津井健といった老人仲間たちは、ちょっと羨ましいような、そんな目で見つめていた。
 ホームにはいろんな人がいる。つい最近白寿のお祝いを受けた森繁久彌だったが、身体もロクに動かず、話も不自由。そんな森繁久彌から、藤岡啄也は打ち明け話をされていた。戦中、家族が防空壕に生き埋めになったことで、天涯孤独の身になったこと、その防空壕に家族の写真を置き忘れてきたこと、それが未だに唯一の心残りであること。
 そうこうするうち、本当に藤岡啄也が死去してしまう(本作のなかでの話)。その葬式は、本人が事前に練っていただけあって、実に「楽しい葬式」となった。ところが出棺後、火葬場の職員が騒ぎ出す。慌てて駆けつけてみると、焼けた後の人骨は2人分あった。加藤治子が寄り添うように一緒に焼かれたのだ。

 開巻まもなく、こんなシーンが続く。こう書くと陰々滅々とした話のように聞こえるかもしれないが、さにあらず、実に楽しい犯罪ムービーになっている。
 何故なら亡くなった藤岡啄也の形見分けで日記を手にした山崎努、そこには銀行の襲撃計画が書かれていて、他の3人も乗り気になってしまったのだ。

 個々の役者の演技の積み重ね。ただそれだけでこれだけの作品になる。
 明らかに監督(犬童一心)の力量とは別だ。むしろ演出は、いささか冗長に感じられるシーンの連続だ。まぁそれも無理からぬことなのかもしれない。あまりの名演についカットの声が遅くなり、編集作業中も切るに切れなくなったであろう気持はよく分かる。

 最後のほうに大スペクタクル・シーンがある。日本特撮史上に残る金字塔とも云うべきシーンである。

 太田蘭三の原作を犬童一心自身と小林弘利で共同脚本。

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