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2009/05/30

【39】~刑法第三十九条~

 CS日本映画専門チャンネルの裁判映画特集を録画して鑑賞。

 刑法。明治40年4月24日法律第45号。最終改正は平成19年5月23日法律第54号。

(心神喪失及び心神耗弱)
第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

 本作は非常に卑怯な作りになっている。タイトルからして、てっきり心神喪失者犯罪の是非を真正面から問うのかと思いきや、本条文を悪用した詐病を暴く話にとどまってしまっているからだ。――分かってくれるかと思うが、あえて逆説的に述べているのである。

 原作は奇才・永井豪の実兄、永井泰宇。脚本は大森寿美男。映画の近作としては「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」、「寝ずの番」、「次郎長三国志」などがあるが、TVドラマも多く、近作ではNHKの「クライマーズ・ハイ」や「風林火山」、CXでリメイクした「黒部の太陽」などがある。永井泰宇原作、大森寿美男脚本というコンビは、過去に「夜逃げ屋本舗」(TVシリーズ)で実現している。実は本作は、これと同時期の作品だ。

 監督・森田芳光の演出に難がないとは云えない。まずは最近洋画のアクション系で多く見られるようになったハンディの手ブレ。これは撮影監督の好みと云われればそれまでだが、作品の出来の全責任を負っている監督サマなら責任なしとは云えぬ。ともかく見づらい画面。それから後半のスリリングな展開、謎解きに至るまでの中だるみが非常に気になる。こういう作品を短い時間におさめてこそ一流と云えるのではないか(本作は133分)。

 ……とまぁ、一応ケナしてはみたものの、本作はほぼ傑作と云って差し支えない。圧倒的なパワーを実感できるからだ。それは原作、演出もさることながら、やはり役者の演技によるところが大きい。主役の鈴木京香、堤真一は当然として、岸部一徳が凄い。脇を固めるのも江守徹、杉浦直樹、吉田日出子、山本未來、勝村政信、國村隼、樹木希林などと芸達者ばかり(山本未來はちょっと違うか)。

 決して後味の良い作品ではない。むしろ考え込まされるはずだ。それと、絶対に許せないシーンも出てくる。恐らく賛否両論あろうが、残念ながら必要なシーンと云わざるをえない。

 刑法は日本の法律である。その日本で生活している人なら、一度は見ておくべき作品だろう(なのに公開から10年近くたって初見のオレって一体……?)。

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