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2009/05/07

ミッドナイト・イーグル

 去年みたってのは憶えてるが、去年のいつだったかまでは……(以下同)。ともかくマイ図書館TSUTAYAから借りてきたDVDで鑑賞。

 まばゆい閃光を放ちながら落下していく物体。その後を追うように上空を通過していく空自イーグル。これらの出来事を目撃し、撮影までしたのは元・戦場カメラマンの西崎だったが、しかし彼は報道写真で何も変えられず、何人をも救うことのできなかった経験にさいなまれ、出来事の意味を考えようともしない。そんな高校時代の先輩の姿を慮った現役ジャーナリストの落合は、ある種の功名心から、半ば引きずるように西崎を登山へと誘う。行き先は、物体とイーグルとが飛び去った先の雪山だ。
 山中、謎の工作員部隊と自衛隊山岳部隊との遭遇戦を目撃するうち、2人は事件の核心へと巻き込まれていく。

 ……おもしろそうに聞こえる? まぁ確かに話自体はいいよ。巷間いわれているようにリアリティがないだのというエンターテイメント性の意味を理解していない輩の主張は放っておくとして、プロットは決して破綻していないし、地上の焦燥感と現場の緊迫感を交互に重ね合わせていく演出は、使い古されたもの故にかえってよかった。ラスト近くはタイム・シークエンスまであるから、そりゃ盛り上がり方としては徹底したもんだ。けどねぇ…。

 確か「亡国のイージス」のときも似たような感慨を抱いたのだが、日本でこの種のアプローチをする場合、どうしても防衛思想がどうの、憲法9条がこうの、非核三原則がどうしたといった、眉間に皺を寄せるような展開にしかならないのはどうしたことか。もうちょっと肩の力を抜いてもいいんじゃないかね。そりゃあ、建前として軍隊を保有せず能動的に戦闘に参加しない国だからこそだってんなら、むしろいいことだとは思うけどね。でも逆にだとしたら、かえってエンターテイメント性に欠けるのは、想像力の欠如あるいは減退ということになりはしないか。

 ……あ、ほら。こっちまで眉間に皺が寄ってきちゃったよ。

 高嶋哲夫の原作は未見。これを「フライ,ダディ,フライ」でグダグダな演出をやってくれた成島出が監督。脚色は長谷川康夫と飯田健三郎だから、ほら、やっぱり「亡国のイージス」コンビだよ。ちなみにこのコンビ、来月公開の「真夏のオリオン」(福井晴敏原作の戦時潜水艦映画)も担当するんで、ちょっと心配してるんだが。福井晴敏も脚色に参加するっていうから、不必要に陰々滅々とならないことを祈りたい。

 キャスティングは、ダメダメなほうから云うと、主人公の西崎に、ちっとも主人公っぽくないツラと演技の大沢たかお。その義妹の週刊誌記者に竹内結子。せっかく地上側のメインという非常にいい役をフられていながら、力の入りすぎた学芸会演技で台無しにしている。おまえは菅野美穂か。西崎の後輩、落合に玉木宏――は、可もなく不可もなく。首相役の藤竜也が、原田芳雄(『イージス』で首相役)とカブるカブる。
 キャスティング唯一の収穫は、自衛隊山岳部隊唯一の生き残り佐伯を演じる吉田栄作。物語後半になってからの登場なのに、画面をほとんど1人でさらってしまった。そういう力の入れ加減はおぢさん好きだぞ。

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