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2009/05/15

しゃべれどもしゃべれども

 レンタルDVDにて鑑賞。

 佐藤多佳子の原作を奥寺佐渡子が脚色、平山秀幸が監督。ここまで問題はない。ことに奥寺佐渡子といえば、アニメ版「時をかける少女」で原作をあれだけ昇華させた人物だけに(押井守の貢献にはあえて目をつぶる)期待を持つなというほうがおかしい。

 でも、どういうわけか、本作はともかくつまらない。消化不良。

 じゃあ出演者が悪いのか?

 二つ目の落語家・今昔亭三つ葉を主人公に、彼が嫌々始めた落語教室に集ってきた人々との交流を描く話。集ってきたのは、無愛想で口下手な美人、転校してきたばかりで馴染めない関西弁の小学生、強面で毒舌の元野球選手。
 無愛想で口下手な美人、香里奈が驚くほどいい。こんなナチュラルな演技をする娘だとは思わなんだ。まだ高校生くらいの頃、TV「カバチタレ!」や「ロング・ラブレター~漂流教室~」で見たときは、「キャバ嬢のコスプレ」くらいにしか見えなかったが、こういう演技をするようになっていたか。
 転校してきたばかりで馴染めない関西弁の小学生、森永悠希。初見だがこんな子役がいたのか。あまりに芝居馴れしているので、最初まえだまえだかと思った(笑) 憎たらしいくらいこまっしゃくれてて、云うことがいちいちムカつくんだが、根はいい子、というのをちゃんと表現できていた。
 強面で毒舌の元野球選手、松重豊。オレ、この人、未だに「そこそこのラーメン屋」か「笹塚に通う爆処理班長」のイメージなんだよな。芝居には安定感があるので問題なし。ただ野球選手には見えないな。

 ほかに伊東四朗や八千草薫。この辺は論評すら不要だろう。ちょっとマニアックなことを云わせていただくと、香里奈の役がクリーニング屋の娘で、ロケ地はオレんちの沿線上に実在する――のはいいとして、香里奈の両親役に言及したい。
 まず父親は下元史朗、母親が水木薫。ともに今は数多くの端役を務める役者だが、出身はともにピンク映画。ことに下元史朗といえば、かの名作「セーラー服色情飼育」で可愛かずみの相手役を務めたことだけで名を馳せた、といっては失礼か。ものすごい数のピンク映画に出ている人だが、残念ながらあの世界では男優は女優よりポジションが低いためフィルモグラフィが見つからない。水木薫も同様で、今でこそ端役ばかりだが、デビュー当時(1980年代)は主演・助演あわせて50本以上のピンク映画に出演しているはずだ(この間、高倉健主演の『居酒屋兆治』にキャバレーのホステス役でも出演している)。

 いやね、実は最近みたCXドラマ「BOSS」に、現役のピンク男優なかみつせいじがチョイ役で出てたのを見て、つい懐かしくなっちゃったんだ。

 話を戻そう。では誰が悪いのか。

 もちろん主役・国分太一の力量不足に尽きると云いたい。落語家としては二つ目という設定で、最初と最後の噺では見違えてるという段取りも分かるが、なら最後の噺は二つ目の力量がやる噺か? ひどいもんだ。噺になんざなっちゃいない。やる気なさそうな演技も、設定と云われればそれまでだが、オレには手を抜いているようにしか見えない。本来、物語の軸の1つである香里奈との恋愛シークエンスも、国分太一のやる気なさで不要なもののように見えてしまう。
 このキャスティングがどういう経緯で決まったのかは知らないが、判明した段階でプロットを変更すべきだったろう。ましてや大トリにもってきた噺が火焔太鼓。とても素人がやっていい噺ではない(原作では茶の湯)。

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