« グイン、未完に終わる | トップページ | 来るべき裁判員映画 »

2009/05/28

警官の血

 今年2月7日・8日の2夜連続で放送されたTV朝日系列のSPドラマ。ただしオレが録画して見たのは2月の終わりか、ひょっとして3月に入ってたかもしれない。

 原作は佐々木譲による同名小説。3代にわたって警察官となった男たちの人生を、戦後まもなくから現代までの時代背景を通して描く大河作。非常に重厚な造りになっている。
 谷中五重塔放火心中事件(1957年)や大菩薩峠事件(1969年)など、実際の事件をもエピソードに織り込むことで、より時代感を醸し出すことに成功している。

 戦後、除隊になり、「市民の味方のような警察官」をめざして警視庁入りした安城清二(江口洋介)だったが、自らの希望通り天王寺駐在所勤務となったのもつかの間、谷中五重塔の火災現場から姿を消し、翌日遺体で発見される。事故死として処理された。実は彼は、かつて発生した「男娼扼殺事件」と「国鉄職員殺害事件」の被害者が、ともに共通する警察官と交流があったことを突き止めていたのだが。
 父の死に疑問を抱き続ける清二の長男、安城民雄(吉岡秀隆)も長じて警察官になろうとするが、学生運動に巻き込まれ、公安のエス(スパイ)として赤軍に潜り込むことを余儀なくされる。これによって不安神経症にさいなまれ、結果的に希望通り父親と同じ天王寺駐在所勤務となるが、それもつかのま、人質となった少女を救うため指名手配犯の凶弾に倒れ、殉職してしまう。実は彼は、父の死の真相に迫る直前だったのだが、さる人物に告げられた一言をきっかけに自暴自棄になり、あえて自ら凶弾に身をさらしてしまったのだ。
 一時期は父を憎んでいた民雄の長男、安城和也(伊藤英明)だったが、その父が実は公安のエスだったことを知り、やはり警察官の道を選ぶ。配属先は警視庁捜査4課だったが、それは表向きで、警務部の命により、ある警察官の素行調査を依頼される。つまり父親譲りをかわれたか、今度は警察内部のエスというわけだ。捜査の過程で、祖父の死の真相、父の死の真相にたどり着くが、その頃には和也の性格は変容を遂げていた。

 この重厚さはどうだ。話自体は意外でも何でもないが、戦後から連綿と続く系譜に震撼する。役者は、何せこれだけ長い話なもんだから数多く登場するのでいちいち触れないが、椎名桔平の凄さ(というか『ホンマモンちゃうん?』という感覚)には触れずにいられまい。

 監督・脚本は鶴橋康夫と聴いて得心した。かつての社会派の雄、芸術祭男(読売テレビ在籍当時。現在は東北新社所属)である。そういえば一昨年だったか、黒澤の「天国と地獄」をテレ朝でリメイクしてたな。

|

« グイン、未完に終わる | トップページ | 来るべき裁判員映画 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/162541/45772637

この記事へのトラックバック一覧です: 警官の血:

« グイン、未完に終わる | トップページ | 来るべき裁判員映画 »