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2009/05/19

容疑者Xの献身

 劇場で鑑賞したのは去年11月のことだったが、評価は史上初の「未」としていたのが本作。理由は、作品の出来映えの良さが映画制作者に起因するものか原作に起因するものか判然としなかったから。原作を再読して確認できたので、ここに改めて評価をアップしておく。最後の最後にきて去年ベストワンである。

 オレが原作を再読することで確認したかった点はいろいろあるが、突き詰めると以下の2点(というかほぼ2カット)に絞られる。

 第1に、「いなくなったホームレス」の描写。本作では単にカメラをパンすることで、自然と観客の目にとまるように仕向けていたが、原作では行間にそこを滲ませていた。したがって原作を映像化する際、もっとも映像化しやすく、観客が理解しやすい手法をとったものと思われる。

 第2に、主人公・石神が花岡母娘を助けたいと思った動機を、たったワンカットで説明するところ。これはもぉ本作に軍配があがる。制作者サイドは、すでに指摘した通り、恐らくは本作を映像化したいと望んだことを出発点に、TVシリーズからの長い長い流れを企図したのだと確信しているが、こと本作を制作するにあたっては、キャスティングも含めて、まさしくこのカットを撮りたいがために集中したのではないか――そう思わせる見事なカットである。

 ただ、今さらながら苦言も呈しておきたい。

 普通このテの作品をロケで撮影する場合、人払い(撮影の邪魔にならないよう一般人の通行を遮断する)するのが普通だが、本作ではどうもそれがなさそうに見える。恐らくは意図的であって、そうすることによって自然と様々な事象が画面おあちこちに紛れ込んでくるものだから、それが見ている観客の推理心を攪乱する役目を果たしている。それはいいのだが、そこまで気を遣う(逆に言えば気を遣わない)のであれば、細かいとこには気を配れよ。舞台が日本橋浜町付近だと説明してるのに、電話ボックスに張ってあるピンクチラシの電話番号が045で始まっちゃいかんだろ。ほかにもいろいろあるが、そういうとこがかえって気になってしまった。

 何はともあれベストワンである。いやめでたい。

 これでようやく去年の総括ができる。

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