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2009/06/19

深く静かに潜航せよ

 5月19日、CSを録画して鑑賞。

 何で今さらこんな古い名作を扱うのかって? それが名作だからさ。

 (ピンク映画で)「レズものにハズレなし」
 (一般映画で)「潜水艦ものにハズレなし」

 ともに金言である。

 USSトライトンの艦長として、世界で初めて原潜による潜航世界一周をなしとげたエドワード・L・ビーチ・ジュニア大佐(最終階級)が、第二次大戦中(あたりまえだがこの頃は原潜ではなくディーゼル潜)の経験を活かして書いた同名小説が原作。原題は「Run Silent, Run Deep」。

 舞台は豊後水道。日本の駆逐艦「秋風」(実在したが、南方で護衛任務にあたっていた艦名なので、恐らく架空が偶然一致したものだろう。ちなみに実在の秋風8代目艦長は、撃沈時の大和艦長・有賀幸作である)に沈められた潜水艦の艦長、リチャードソン中佐(クラーク・ゲーブル)は、密かに復讐に燃えていた。帰国後、一時は艦隊司令部でデスクワークに臨むが、帰港した潜水艦USSナーカ(これも実在したが、建造計画が認可されたものの後に取り消されたため、実際には就航していない)が艦長不在になると知るや、強引な手段で自らを艦長に指名させ、再び豊後水道へ乗り込む。本来なら前任艦長の後を襲って艦長に就任するはずだった副長ブラッドソ-大尉(バート・ランカスター)は面白いはずもないが、ぐっと不満をかみ殺す。しかし奇妙で厳しい訓練、挙げ句の果ては絶好の獲物である敵輸送船を見逃すといった行為に、次第に艦内で新艦長に対する不満と不信が募っていく。

 まず役者がスゴい。ゲーブル、ランカスターもそうだが、リチャードソン艦長の腰巾着役でジャック・ウォーデンまで出てくる。監督は云わずと知れた名匠、ロバート・ワイズ。脚本はジョン・ゲイ(『三文オペラ』なんかの昔の劇作家とは別人)。撮影はラッセル・ハーラン(『遊星よりの物体X』、『リオ・ブラボー』、『アラバマ物語』、『グレートレース』、『ハタリ!』などなど)。「聞こえない」音楽はフランツ・ワックスマン(『嘆きの天使』、『脱出』、『フランケンシュタインの花嫁』、『レベッカ』、『フィラデルフィア物語』、『断崖』、『ジキル博士とハイド氏』、『ユーモレスク』、『サンセット大通り』、『陽のあたる場所』、『裏窓』、『翼よ!あれが巴里の灯だ』、『昼下りの情事』、『尼僧物語』などなどなど)。

 何しろナーカの単独航行シーンのほとんどに本物の潜水艦(実在じゃなかったが構想上のナーカと同じバラオ級のUSSレッドフィッシュ)を使って撮影されており、モノクロであっても迫力が全く違う。しかし何よりそのストーリーが素晴らしい。後の潜水艦映画(に限らないが)のエポックメイキングたる話や戦術がふんだんに出てくるのだ。

 繰り返すが「潜水艦ものにハズレなし」は金言である。

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