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2009/07/28

真夏のオリオン

 7月2日、有楽町にて鑑賞。

 当サイトで何度も繰り返しているが、「潜水艦ものにハズレなし」との格言がある。

 昭和20年7月30日、テニアン島へ原子爆弾を運搬した後の巡洋艦インディアナポリスを、伊58潜水艦が撃沈した。日本海軍の潜水艦としては最後の大型戦闘艦撃沈にあたるが、当時の橋本以行艦長(少佐)は回天を搭載していたにもかかわらず魚雷攻撃によってこれを達成している――この事実に基づく池上司のフィクション「雷撃深度一九・五」が、本作の原作にあたる。これを長谷川康夫と飯田健三郎が「脚本」にし、福井晴敏が「脚色」したそうな。どう違うんだ?

 史実をもとにしているとはいえ、本作は全くのフィクションだ。伊58は「伊77」という全く架空の艦名(排水量最大級の日本海軍潜水艦『伊号』の艦番は2ケタと3ケタがあり、2ケタの最高は60。したがって伊77はありえない)に置き換えられているし、インディアナポリスも「パーシバル」という実在はするが全く別物の艦名になっている。

 まぁ、そこはいいや。本作の場合、史実をもとにしていようがいまいが、明らかに「眼下の敵」の翻案としか云いようがない。細かい部分では「深く静かに潜航せよ」もあるか。要するに潜水艦という特殊な環境を舞台としたフィクションは、もう描き尽くされたほど描かれていて、オリジナルはなかなか作りにくい。だから、いかにうまく個別の事象をつなぎあわせていくかという構成の妙というかアレンジのセンスが求められる分野になってしまっている。そこを看破できないと、残念ながら無敵の潜水艦ものといえど、駄作に堕してしまうわけだ。

 現代から話を始めて回想シーンに入るというやり方は、「男たちの大和」でも「ローレライ」でも使っていたが、あれはそうするのが効果的だったからそうしていたのだ。本作では決定的に間違っている。ラストの意外性が何もないではないか。楽譜がなんちゃらいう件りは不要。ラストでパーシバルの乗組員を出すくらいなら、途中でもっと緊迫感のあるパーシバル艦内を描けないものか。せっかく本物の駆逐艦(スレイター)を借りたってのに、迫力が全くない(潜水艦側は全面CG)。玉木宏と北川景子、いいんだけど恰好よすぎるし美人すぎるの。特にロングの絵だと、日本人にありえない体型してるから興ざめしちゃう。誰が堂珍嘉邦をキャスティングしたんだ? あいつ出てくるとこ全部カット。その他、出てくる若手の役者(平岡祐太やら黄川田将也やら戸谷公人やら)の演技が度を超してド下手くそなもんだから、益岡徹やら吹越満やらが普通に演技してても台無し。特に吉田栄作なんて浮く浮く♪ 監督は「地下鉄に乗って」などの篠原哲雄。やっちゃったなあ。

 なんやかや不要なシーンをバッサリやってくと、多分30くらいの作品になったんじゃないかな。すると、あら不思議。戦闘シーンしか残らなくなっちゃう♪

 いろいろ欠点の多い作品ではあるんだが、でもね、勘弁してやってよ。もっと暖かい目で見てやってほしいんだ。若い子にありがちな勘違いじゃん? こういう失敗を繰り返さないと、わかんないのよ。今の子って。残った戦闘シーンに関しちゃ、多少なりとも迫力あったし。オレ結構好きよ。こういうの。

 「潜水艦ものにハズレなし」の看板は、おろさないことにする。

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