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2009/07/25

BOSS

 CX系4~6月クールのドラマ。全11話。素晴らしい。久しぶりにCX系ドラマで爽快感を味わった。

 警視庁が「多様化する犯罪に対応するための切り札」として捜査1課内に設置した「特別犯罪対策室」。アメリカ帰りで女性わけありキャリアの大澤絵里子(天海祐希)が室長に就くが、上層部の意向はあくまで世間の目をごまかすための〝お飾り〟にすぎない。何故なら「各部署選り抜きの精鋭」とされて集められた絵里子の部下たちは、いずれも精鋭と呼ぶには個性的すぎる面々。実のところ「各部署から不要」とされた人材ばかりだったからだ。ところが、この使えないはずの部下たちを率いて、どういうわけか絵里子は難事件を次々に解決していく。

 まず、キャラクターの立て方が素晴らしい。

 主人公・大澤絵里子は、恐らく脚本家による天海祐希のアテ書きだろう。実際に本人がどういう性格なのかは知らないが、いかにもという感じがする。
 しかし、実はこのキャラクター、役者の力量もさることながら、ストーリーライン的に云うと、他の人物がいてこそ映えるキャラクターなのだとも云える。故に他のキャラクターのほうが個性は強い。
 まず、何と云っても、この短いクールで「成長する」という難しいキャラクター木元真実を演じきった戸田恵梨香を褒めてやりたい。科捜研出身で、社会適合能力と協調性のなさ、それに異動を不服に思っていることなどから、いっこうに自分の興味ない、不得手な仕事はやりたがらない、イカニモ今時なキャラクターだったが、第4~5話以降徐々に変貌を遂げていく。
 クールで銃の腕前もいいがトラウマから引き金を引けなくなった過去を持つ実は天然。こういう片桐琢磨という役は、「逆境ナイン」で鍛え上げた玉山鉄二ならでは。これも第8話で克服する話がある。
 組織対策課(かつての暴対)から異動してきた単なるゲイ、岩井善治にケンドーコバヤシ。要するにギャグ要員なのだが、ケンコバは驚くほど芝居がうまいので、すんなり話に溶け込んでいる。
 落とし物が多いことから「落としの山さん」の異名を持つヤマムーこと山村啓輔に温水洋一。この人、最近露出度が激しいため固定キャラかと思いきや、うまく処理されている。
 単なる熱血なくせにボケの花形一平に溝端淳平。最初オレこのキャラ不要だと思っていたのだが、他のキャラクターの基準になる重要なキャラクターだと気づいた。

 ここまでが特別犯罪対策室の面々。さらに科捜研所属の鑑識官で真実の元上司、奈良橋玲子に吉瀬美智子。エリートキャリアの参事官補佐のはずが、明らかにおもしろがってるだけの野立信次郎に竹野内豊。
 さらに捜査1課係長・小野田忠に塩見三省、絵里子や野立の上司である参事官・屋田健三に相島一之、さらにその上の刑事部長・丹波博久に光石研、絵里子の恋人で鳶の池上浩に丸山智己――といったあたりがレギュラーの脇。

 つまり昔で云うと、ガッチャマンのような、熱血漢、クール、くそがき、デブ、女といった「個性派集団」のキャラクターの立て方を教科書通りにやっているにすぎないのだが、互いが互いを補完というか対比しあうようなキャラクター関係になっているため、飽きがこない。

 脚本は林宏司メインで、2話(第7話と第9話)だけ西平晃太が担当。ともにCXの専属らしいが、後者をオレは知らん。前者は「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」、「医龍」など。なんだ、喰わず嫌いにならず観とけばよかった。
 演出は(たぶん)光野道夫メインなんだろうが、1、2、4、8、11話の5話担当。ほかに石井祐介が3、5、10話の3話担当、星野和成が6、9話の2話担当、成田岳が7話のみ担当。いずれもCX演出部ばかりだが、よく考えてみるとメインの2人、脚本・林宏司、演出・光野道夫、それに主演・天海祐希ってのは、「離婚弁護士」のメンツだな。

 毎回ゲストが犯人役で出演するのだが、構成が見事なため、フーズ・ダーニットの場合でも犯人が誰か分からないような工夫を凝らしている。
 そのゲストがこれまた凄い。

 CASE1……爆弾による連続殺人犯に武田鉄矢。このキャスティングも意外だが、最終回に再登場するゲストというのも珍しい。
 CASE2……「神」を名乗る予告殺人犯に、なんと懐かしい野村宏伸(ほかに、この回は『タイガー&ドラゴン』で〝うどん〟を演ってた浅利陽介も)。
 CASE3……女性誌モデル連続暴行事件の被害者に酒井若菜(これが見事)。
 CASE4&5……刑事を人質にとる連続殺人犯に山田孝之(これはちょっと鼻についた)。
 CASE6……殺人現場に偽装を施す秀才女子高生に志田未来(同じ学校の先生役に仮面ライダーナイトが出てたのには驚いた)。
 CASE7……ニュースキャスターに富田靖子。
 CASE8……何故かヤマムーと結婚を宣言するホステスに小西真奈美(見事!)。
 CASE9……大学で虐待問題に取り組む心理学教授に生瀬勝久。
 CASE10&11……テロリストに反町隆史、警視総監に津川雅彦、池上浩の弟に復帰後まもない石垣佑磨。

 観ての通り、なかにはダイコンもいるが、構成とストーリー展開がそれを悟らせない。例えば最終話でテロリストのメンバーがSPに化けるのだが、この1人が神尾佑(『SP』)。そりゃ悟らせないわな(笑)

 すでに続編の話もあるというが大賛成。この流れなら何度でもリメイク可能ではないか。CXはアイデアを他局に奪われてばかりいるのだから、たまにはパクッたっていい。めざせ「相棒」!

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