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2009/09/28

おくりびと

 こないだ地上波(TBS)で鑑賞。実は初見である。

 どうもオレは根がヒネクレているので、世間で高い評価を得た作品というのを率先して観ようという気が起きない。例えばオスカーを獲りそうな作品だったら、受賞する前に観に行く。受賞してしまったら、後に「偶然」観るまでは観る機会を逸してしまう。
 本作もそうだ。世間的評判が高いのでどうにも観る気がしなかった。

 観る気がしなかった理由はもう1つある。監督が滝田洋二郎である点だ。何かこう、本作以降、滝田洋二郎というとまるでおとなしい、静かな作品の人、であるかのようなイメージだが、オレにとっての滝田洋二郎は、間違いなく「痴漢電車」シリーズ(断っておくが、互いに話などは全く連関していない)の大家なのである。

 滝田洋二郎の監督デビューは1981年の「痴漢女教師」だったはずだ。以降、「痴漢電車」シリーズ全11作(1982『痴漢電車 もっと続けて』、1982『痴漢電車 満員豆さがし』、1983『痴漢電車 ルミ子のお尻』、1983『痴漢電車 けい子のヒップ』、1983『痴漢電車 百恵のお尻』、1984『痴漢電車 下着検札』、1984『痴漢電車 ちんちん発車』、1984『痴漢電車 極秘本番』、1985『痴漢電車 聖子のお尻』、1985『痴漢電車 車内で一発』、1985『痴漢電車 あと奥まで1cm』)を含む「痴漢」シリーズ全15作(デビュー作を除くと、1981『痴漢女教師』、1984『痴漢保険室』、1985『痴漢通勤バス』、1986『痴漢宅配便』がある)のほか、1982『官能団地 上つき下つき刺激つき』、1984『グッバイボーイ』、1984『OL24時 媚娼女』、1984『真昼の切り裂き魔』、1984『ザ・緊縛』、1985『桃色身体検査』、1985『絶倫ギャル やる気ムンムン』、1986『ザ・マニア 快感生体実験』、1986『はみ出しスクール水着』と、ピンク映画作品は実に計26作品に及ぶ。しかもこの間、わずか5年しか経っていないのだ。なかでも1983年の『連続暴姦』(大杉漣が準主演)に対する評価は高い。
 それが1986年の『タイム・アバンチュール 絶頂5秒前』を最後にピンク映画から綺麗サッパリ足を洗い、同年商業映画デビューを果たしている。これが『コミック雑誌なんかいらない!』だ。

 ことほどさようにオレにとっての滝田洋二郎とはピンクの人、痴漢の人(誤解されそうだな)、アバンギャルドな人というイメージがあって、「おくりびとだぁ? へっ!」ってな気持になったとしても致し方ない側面がありはしまいか。

 ただし成立過程からすると、本作は決して「滝田洋二郎作品」とは言い難い側面もある。

 まず詩人である長谷川龍生に触発され、納棺師経験のある作家・青木新門が「納棺夫日記」を著した。これを読んで感銘を受けたのが本作の主演である本木雅弘。自ら青木家を訪れ、映画化の許可を得たのだが、完成した脚本を見た青木は、映画化を拒否。本木が何度も青木家を訊ねた結果、「全く異なる脚本で、原作のクレジットを外す」ことで、ようやく許可が出た。監督に滝田洋二郎という話が持ち上がったのはその後で、本作の脚本(小山薫堂)は当初の脚本とも異なる。撮影は浜田毅(『涙そうそう』など)。音楽は久石譲。

 さて、それほど世間的評判の高い本作であるから、内容に触れる必要はあるまい。確かに葬儀屋から独立した納棺師という職業を世間に広めたという点では、本作の貢献を否定するわけにいくまい。

 本木雅弘、山崎努、余貴美子、それから吉行和子、杉本哲太「母子」といったキャスティングには文句のつけようがない。意味不明なのが広末涼子だが、まぁ完璧なのもどうかと思うで、これもよしとするか。笹野高史が、主演を差し置いて画面を独り占めしてしまうのは、たぶん演技力ではなく役がよかったのだろう。さしたる演技力のある役者ではない。

 世間の評判が高いことでマイナス。滝田洋二郎がネコかぶってるのでマイナス。よって評価は計2ランクダウンとした。

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