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2009/10/09

隠し砦の三悪人~THE LAST PRINCESS~

 CSにて鑑賞。

 云わずと知れた最高傑作の誉れ高い黒澤作品を、中島かずき脚色、樋口真嗣監督でリメイクした作品。この時期、黒澤作品リメイクが、「椿三十郎」、本作と続いたため、つい比較せざるをえないのだが、「椿三十郎」がオリジナル脚本をそのまま採用していたのに対し、本作ではほとんど原型をとどめないまで大幅に脚色している。そのせいで評価としても、本作は「椿三十郎」に比べ、一歩も二歩も劣ったものとならざるをえない。
 そりゃね、まず絶対に脱出不可能な状態に主人公たちを追い込む無理難題を設定した上で、菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明の4人が知恵を絞って解決策を見つけるというシナリオ手法がオリジナルだ。そこへ原題の若造がちょちょいと手を加えただけで傑作をものそうなどとは実に片腹痛い。片腹痛いのだが……なんつーかチャレンジ精神だけは見上げたもんだよ。そこんとこだけは認めちゃる。
 オリジナルを観てジョージ・ルーカスがスターウォーズを発想したそうだが、果たして本作を観たルーカスは何か発想するかね。

 オリジナルでは真壁六郎太(三船敏郎)と田所兵衛(藤田進)の決闘へとなだれ込んでいく展開で、そこへ狂言で云う太郎冠者と次郎冠者(ボケとツッコミ)を模した太平(千秋実)と又七(藤原釜足)を配し、さらに雪姫(上原美佐)がかき回すという基本プロットだった。大もとが狂言だったからか、ルーカスは太平をC3-PO、又七をR2-DSとして狂言回し的な位置に配し、雪姫をそのままレーア姫に見立てた。真壁六郎太と田所兵衛の斬り合いは、(関係性こそ違うが)ルークとダースベイダーの決闘につながる。

 これを樋口真嗣は、太平と又七の関係性をいったん崩した上で、太平っぽいキャラクターとして武蔵(松本潤)を主役に配し、又七っぽいキャラクターは新八(宮川大輔)として脇にまわした。雪姫(長澤まさみ)は武蔵の相手役に格上げ。真壁六郎太(阿部寛)はそのままだが脇にまわり、敵役の田所兵衛を鷹山刑部(椎名桔平)に置き換えた。

 なあ? これで成功すると思う? 思ったんだとしたら、あんたらアタマどうかしてるぜ。

 かつてオリジナルの雪姫役には、当時女子大に在学中だった上原美佐が大抜擢された。気品と凛とした外見を兼ね備える上原美佐に、黒澤は特有の計算があったろう。単なる素人だったが、それ故の棒読みは、かえって雪姫のぶっきらぼうなキャラクターに合致しているという計算もあったはずだ。つまり黒澤は、単に映画一作のためだけのつもりで、彼女を抜擢したわけだ。が、一躍スターとなった彼女を、まわりが放してくれるわけがない。その後2年にわたって女優として活動するが、誰よりもよく本人が実力不足を実感していたのだろう、「私には才能がない」ことを理由に、ほんとにわずか2年で引退してしまった。
 翻って本作における長澤まさみはどうか。そこまでの覚悟があったかどうか。上原美佐を上回る演技ができていたかどうか。さらに、そこまで配慮したキャスティングであったかどうか。

 チャレンジは認めるが、それだけのことだ。「顔洗って出直してこい」。

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