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2012/03/12

海賊戦隊ゴーカイジャー

 遡り篇。っていうか今。忘れてたよ。ゴーバスターズを話題にする前に、こいつを書かなきゃいけないよな。

 戦隊シリーズ35作目。正確には「スーパー戦隊」というのか。今では「ゴレンジャー」から数えているようだが、厳密に云うと「ゴレンジャー」とその次の「ジャッカー電撃隊」は今の戦隊シリーズに含めるにはやや違和感がある。何故ならこの2作品は原作者が異なり、巨大ロボットが出てこないから。

 1975年にスタートした「秘密戦隊ゴレンジャー」は、石森章太郎が原作。5人の色違い戦士というコンセプトは今に通じるものがあるが、巨大ロボットが出てこない点が大きな違い。しかし最大の違いは、放送期間が2年間に及んだ点だろう。
 1977年、ゴレンジャーの人気に気をよくした東映が、同じ流れの別作品「ジャッカー電撃隊」の原作を石森章太郎に依頼する。こちらは4人組で、やはり巨大ロボは登場しない。ところがこの作品、視聴率低迷から3クール(9か月、35話)で打ち切りとなってしまった。
 ここから約1年間、空白期間があるのだが、1979年に始まった「バトルフィーバーJ」以降は、八手三郎原作の年1作(4クール、50話前後)ペースを常に貫き通している。

 もっとも空白の1年間だって、東映は何もしていなかったわけではない。実はこの当時、東映はアメリカのマーベルコミックとの間で、「3年間、互いのキャラクターを自由に使っていい」という契約を締結していた。これに基づき、マーベルはダンガードAやコンバトラーVが登場するコミックを刊行するのだが、東映側はもっとえげつない。「スパイダーマン」のドラマ化である。単なるドラマ化ではない。「自由に」使っていいのだから、キャラクターさえスパイダーマンなら何をやってもいいのだ。そこで東映、スパイダーマンなのに巨大ロボットを登場させた。
 この日本版「スパイダーマン」に登場する巨大ロボット「レオパルドン」は、オモチャにした途端、(当時としては)空前の大ヒットを飛ばす(実はオレも持ってた記憶がある)。何しろ当時、巨大ロボットというとアニメの独壇場だったため、実写の巨大ロボットは貴重だったのだ(大鉄人17とか、ああいうデザイン的にダメダメなのは除く)。

 2つのヒット経験を備えた東映は、その2つ、すなわち色違い5人ヒーローと巨大ロボットをいっしょくたにしてしまえと開き直る。こうして誕生したのが「バトルフィーバーJ」で、実はこの作品もマーベルとの提携が一部活かされている(ミス・アメリカの元ネタがキャプテン・アメリカなのだが、諸事情により名前のみにとどまる)。

 以降、切れ目なく続いているわけだ。ちなみに「八手三郎」というのは、平山亨に端を発する東映の社員プロデューサーによる共同ペンネーム。故に八手三郎は「そこにもいる。ここにもいる。あなたのまわりにもいるかもしれない」とか「闇にうごめく戦闘集団」とか云われる。正体が判明する前は「石森章太郎の隠し子」などというウワサまであったそうな。

 最初の頃は大変だった。時代的な背景もあったろうが、初期の作品には結構、主役クラスの途中交代劇があった。それは意図したものではなく、大半が俳優側の事情によるものだ。例えば1作目「秘密戦隊ゴレンジャー」で、キレンジャーが大岩大太(畠山麦)から熊野大五郎(だるま二郎)に交代、その後、熊野大五郎が戦死したため再び大岩大太がキレンジャーに復帰、ということがあった。畠山麦の舞台出演のスケジュールと都合がつかなくなったためだ。ところが畠山麦、番組終了後にキレンジャーのイメージを払拭できなかったことを悔やみ(と云われている)、わずか1年後に首つり自殺してしまう。
 「バトルフィーバーJ」でバトルコサックが白石謙作(伊藤武史)から神誠(伴直弥)に変わったのは、TV朝日の広報とのトラブルが原因だそうな(当時、結構週刊誌がかき立てた)。当時、既婚者だった伊藤武史は、その事実を公表していなかったのだが、TV朝日の広報を担当していた女性がマスコミにリークしてしまう。伊藤武史は謝罪を求めるが女性は拒否。これがバトルコサック役降板の原因だ。この作品では、敵幹部ヘッダー指揮官役の潮建志が覚醒剤所持容疑で逮捕されてしまったことから、石橋雅史が急遽代役にたてられるということもあった(7話くらいまで撮影していたので、未放送分は全て映像を差し替えた)。
 「太陽戦隊サンバルカン」で、バルイーグルが大鷲龍介(川崎龍介)から飛羽高之(五代高之)に変わったのは、どうやらこれが唯一、当初から予定されていたことだったらしい。
 ちょっと凄いのが「超電子バイオマン」のイエローフォーだ。小泉ミカ(矢島由紀)から矢吹ジュン(田中澄子)への交代劇は、矢島由紀の「失踪」が原因。実は今でも不明のまんま。この矢島由紀の所属事務所JAC(当時)は、お詫びの意味から、同じ事務所のエース俳優である真田広之を、早瀬健(矢吹ジュンの先輩)役で出演させている。

 前置きが長くなったが、本作の場合、それら過去の34戦隊を全てフィーチャーするところから出発している点が特徴的だ。こういう例は仮面ライダーでも「ディケイド」の例があったが、あちらは過去の作品を愚弄することに主眼が置かれていた(ほかにどう解釈しようがある?)のに対し、本作は明らかにリスペクトに主眼を置いている。
 設定上、34戦隊、約200人の戦士が、力を合わせて戦った「レジェンド大戦」によって、敵を撃退こそしたものの、200戦士の力はレンジャーキーというカギになって、宇宙に散らばってしまう。このレンジャーキーを手にすることで、過去のスーパー戦隊に変身できる、というのが、ゴウカイジャーの大きな売り。
 このレンジャーキーがゴウカイジャーに渡るまでの話に、「轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊」(30作記念Vシネ)に登場していたアカレッド(歴代レッドの力を結集したレッド)を絡ませるあたりもうまい。
 えらいのは、無理に昔の戦隊に合わせるのではなく、変身後も今のゴウカイジャーたちと同じ動きをさせるところ。昔の戦隊出演者もたびたびゲスト出演するのだが、一部の例外を除いて変身してみせることはない。常に素顔のまま。そう、このほうがいいのだ。
 そういう意味で今回のスーツアクターは凄い。二刀流のくせに常に片腕を使わないブルー、「トイレから出て洗ったあとの手を拭いている」(ただし本人無自覚)グリーンとか、なかなかうまい特徴づけをしている。

 コンセプトは海賊。オープニングの曲なんか、まんまワンピースだからなあ。まぁ、こういうことって、戦隊ものじゃ風物詩みたいなもんだ。

 要するに35作目のお祭り戦隊なわけで、例えば本作の場合、「原作者」には「八手三郎」と「石ノ森章太郎」の2人がクレジットされている。こんなことはかつてなかった。それから脚本は、メインが荒川稔久なんだが、過去の戦隊シリーズで脚本を担当したやつをゲスト的に引っ張り出してるもんだから、香村純子、下山健人、浦沢義雄、井上敏樹、石橋大助と、近年の戦隊には珍しく大所帯になっている。これは演出も同様で、中澤祥次郎、渡辺勝也、坂本浩一、加藤弘之、坂本太郎、竹本昇と並ぶ。面白いもんで、ここ数年は松村文雄ばっかだった撮影すら、相葉実や大沢信吾の名前も並ぶ。

 でも、本作の凄いところは、そういうお祭り的な部分ではない。そうじゃなく、ちゃんと基本的なキャラクター設定を疎かにしていない点が嬉しい。キャプテン・マーベラス/ゴーカイレッド(小澤亮太)、ジョー・ギブケン/ゴーカイブルー(山田裕貴)、ルカ・ミルフィ/ゴーカイイエロー(市道真央)、ドン・ドッゴイヤー(ハカセ)/ゴーカイグリーン(清水一希)、アイム・ド・ファミーユ/ゴーカイピンク(小池唯)、伊狩鎧/ゴーカイシルバー(池田純矢)、それからたまに出てくる敵役バスコ・タ・ジョロキア(細貝圭)。演技力の如何は別にして、それぞれがなかなか…。特に市道真央、ああいう顔したキャバクラとか風俗のおねえちゃん、いるよな~。なんつーの? スケベ顔っつーの? wikipediaみたら「ハーフ顔」って書いてあって笑っちゃった。

 そうね、過去10年くらい、オレんなかの評価だと、こんなふうになるかなあ。

1.特捜戦隊デカレンジャー(2004/05)
2.魔法戦隊マジレンジャー(2005/06)
3.忍風戦隊ハリケンジャー(2002/03)
4.侍戦隊シンケンジャー(2009/10)
5.獣拳戦隊ゲキレンジャー(2007/08)
6.百獣戦隊ガオレンジャー(2001/02)
7.海賊戦隊ゴーカイジャー(2011/12)
8.轟轟戦隊ボウケンジャー(2006/07)
9.爆竜戦隊アバレンジャー(2003/04)
10.天装戦隊ゴセイジャー(2010/11)
11.炎神戦隊ゴーオンジャー(2008/09)

 低く見えるかもしれないが、正直云って2~7位はダンゴと考えてくれ。8位以下があまりにもダメダメだった印象が強いので、戦闘集団(八手三郎?)、じゃなかった、先頭集団との間に大きな開きがある。
 その意味で本作は、厚みのある先頭集団の一部と云えようか。

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コメント

いや~。
ディケイドの大失敗+続きは映画で戦法でこりゃだめだ、と思っていたのですが、ゴーカイジャーはディケイドより多い参加メンバーをとてもうまく昇華させていて、話がしっかりまとまっていてびっくりしましたよ。

ってか面白かったし、懐かしのメンバーがちょいちょい出てくるのはうれしかったなあ。

まさかアバレピンクのレンジャーキーが出てくるとは思わなんだ。

個人的にはこの戦隊シリーズ、貴殿があげていた中ではベスト3くらいに入っちゃいます。
ベスト1は言わずと知れたデカレンジャーです。

逆にワーストは…ボウケンジャーかなあ?
だってサージェス財団だって、「ゴードム文明」「ジャリュウ一族」「ダークシャドウ」「クエスター」に負けず劣らず怪しいんだもん。
なんか正義の味方って完全にいえないような感じで…。

でも、「アタック!」って言ったら指鳴らしたくなりますよね。

投稿: MO | 2012/03/28 01:53

 仮面ライダーもそうなんですが、ああいうふうに過去のに出てこられるやすってのはスペシャル感があるんで盛りあがるんですね。ただ毎回スペシャルだとマンネリ化しちゃうし、過去のと違うとそれはそれで満足しなかったりして。難しいとこなんですがねー。

投稿: Smith | 2012/03/19 09:03

我が家のヒーロータイムはマジレンジャー辺りで終わっていたのですが、
何気なく見た息子達、“自分達が見ていた戦隊”が出てくるのが
面白かったようで毎週大盛り上がり!!
「最初から見れば良かった~~」ですって(笑)
彼らが大人になってもやっていて欲しいな~。

投稿: じゅんぺい | 2012/03/15 12:54

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