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2012/03/04

明日への遺言

 2年前から順行篇。
 これは記録が残ってた。2009年11月3日、CSを録画後鑑賞。

 陸軍中将にして東海軍管区司令官(第13方面軍司令官兼務)だった岡田資(たすく)の最後の数年間を描いた作品。数年間といっても、戦後GHQに拘束されて後、B級戦犯裁判にかけられ、死刑判決を受けるまでのごく短い期間がメインで、巣鴨プリズンの処刑場へ姿を消すところまでで本作は終わる。

 岡田がかけられた容疑は国際法違反(捕虜虐待罪)で、争点となったのは終戦ギリギリ前の昭和20年6月、前月の名古屋空襲の際に撃墜され捕虜となったB-29搭乗員27名を処刑した点。うち11名は軍律会議にかけた上で処刑したが、残る16名を処刑する際、略式手続きのみだった点が特に取り沙汰された。
 しかし劇中の岡田は、軍律会議であろうが略式手続きであろうが、処刑が「国際法に照らした上での違法者に対する処罰」であったと主張する。この場合の国際法とは無差別爆撃(軍事施設以外への空爆)を禁じたハーグ条約をさしており、名古屋空襲が明らかなハーグ条約違反の無差別爆撃に相当したと、逆にアメリカ側を痛烈に批難してみせるのだ。
 ただし、事態が条約違反であれ、処刑の責任はとらざるをえない。岡田はこの点、命令したのは自分であって他の誰にも責任はないと主張、一切の罪をかぶる姿勢を貫いた。

 ……とまぁ高潔きわまりない(と、世間で評価されているらしい)岡田を、藤田まことが物静かに演じるのは分からんでもないのだが……。うーん。あのね、オレ、もちろん岡田資に会ったことはないのだが、果たしてそこまで高潔な人だったのかどうか、そこまで美化していい人物だったのかどうか、甚だ疑問を抱いているのだ。このへん、長くなるんで省略する。

 それはともかく、何しろ全編これ裁判映画みたいな作品なので、出演者のほとんどはチョイ役にしかならない。藤田まこと以外のキャストは、ほとんどガイジンである(そりゃそうだ)。弁護士と裁判長(この場合は裁判委員長)のガイジンは観たことないが、検察官がどうにもスティーブ・マックイーンにクリソツ。キャストを観たら「フレッド・マックイーン」となっていた。あれれ? おかしいな。スティーブ・マックイーンといえばニール・アダムス、アリ・マクグロー、バーバラ・ミンティと3度にわたって結婚しているが、息子は1人だけのはず。これはチャド・マックイーン(『ベスト・キッド』なんかにチョイ役で出ていた)だ。するとこいつは何物だ???? ちなみにこのフレッド・マックイーンなる俳優、意外と日本映画に出ている。なんだかなあ。

 監督は小泉堯史。クロサワの遺志を継いだ「雨あがる」は出色の出来だったが、「阿弥陀堂だより」までは黒澤コピーが続いた。ようやくオリジナル色が出てきたか。前作「博士の愛した数式」を観てないので何とも言えないが。
 脚本も小泉堯史だが、共同脚本にロジャー・パルバースの名がある。主に戯曲なんかを書いてる人だが、非常に日本語の造詣が深い。かつて「戦場のメリークリスマス」の助監督を務めたこともあった。
 本編の前と後あたりで長々と字幕入りナレーションが入るのだが、一体どこのヘタクソだと思ってたら竹野内豊だった。納得。

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