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2012/05/01

SPACE BATTLESHIP ヤマト

 ありゃ。約1か月も空いてしまったか。振り返ればそんなに忙しかった気はしないんだがなあ。まぁ何のかんのコマゴマと色々あったのは事実だが。GWをいいことに一挙に取り返すかあ。


 遡り篇。2011年1月、劇場にて鑑賞。

 最初に観たとき(後にスペシャルエディションDVDを購入)、「すげえな」の一言だった。いや、もちろん本作はかの「宇宙戦艦ヤマト」〝ではない〟。だが、それが何だ。「スター・トレック」が「宇宙大作戦」と異なるから作品の出来を否定するのか。そんな愚を犯すほどオレは愚かな人間ではないと自負している。それほどまでに、本作のクォリティは高い。

 例の、西崎義展(この次点では存命)と松本零士との確執によって、西崎義展サイドによる製作となった本作は、松本零士色を極力排除せざるをえない。そこで最終的に白羽の矢が立ったのが山崎貴というのは、本作にとって幸運だったと云うべきだろう。実際の現場サイドで何があったのかは知らないが、西崎-松本戦争からはことの最初から無縁でいられたからだ。もともとのTVシリーズが日テレ系列だったのに、本作の企画がTBS発信というのも功を奏した一因か。芸能界で押しの強い(ある程度ワガママの通る)某プロダクション最大の看板俳優を主演に迎えられたことも、同様の効果をもたらしたように思う。以上もちろん憶測である。

 古代進を木村拓哉が演じる。すなわち原作とは年齢設定がはるかに異なるところから出発していることもあって、設定を大幅に変更せざるをえなかったか。加えて山崎貴、恐らくはこんなことできるの最初で最後だと思っていたはずで、ならばと何でもかんでも詰め込んだ。佐藤嗣麻子の脚本は、一応最初のヤマト(正確に云うと映画第1作)をベースにしてはいるが、途中から完全に「さらば」だし、最後は明らかに「完結編」。これが「アンフェア」でぐだぐだなホンを書いてた人物の脚本か! 明らかに山崎貴の意図が豊富に盛り込まれていよう。

 ことにガミラス/イスカンダルの設定が秀逸だ。双子星を1つの惑星の裏と表、意思の集合体に切り替えた。しかもデスラーの声と姿を伊武雅刀に(本人に演技させCG変換している)、イスカンダル(この場合はスターシャではない)の声を上田みゆき(かつてスターシャの声を演じていたことがある)、そのダンナで云わずと知れた主題歌歌手だったささきいさおをナレーションに起用するなんざ、素晴らしいの一言。

 キャスティングとして、沖田十三に山崎努というのは文句ないが、できれば仲代達矢を持ってきてほしかった(完結編のナレーション)。島大介に緒形直人、真田志郎に柳葉敏郎、徳川彦左衛門に西田敏行、藤堂平九郎に橋爪功、古代守に堤真一。このへんのキャスティングに疑問はない。島のキャラクターがかなり違っていて、特に原作で「弟」だった島次郎を口のきけない「息子」に変更しているのは、遊星爆弾による地球の変貌の影響を端的に伝える意味で間違ってはいるまい。斉藤始に池内博之、加藤(三郎)に波岡一喜、山本(明)に斎藤工、脇役ながら南部康雄に矢柴俊博、相原(義一)は女の子役になっててマイコ、太田(健二郎)に大和田健介。このへんも文句は云うまい。最大の難問、森雪 を生活班ではなくブラックタイガー隊のパイロットに変更した上で黒木メイサというのも、プロットからして分からんでもない。最も首を捻ってしまったのは、佐渡(酒造)を女性にした上で高島礼子というキャスティングだ。いや、そのこと自体に疑問は湧かない。そうではなく、佐渡先生というキャラクター自体が、本作においては余計にしか見えない。いらなかったんじゃね?

 逆にキャラクターというわけではないが、アナライザーの設定はむしろ秀逸だ。原作のような二足歩行のロボットではなく、小型分析ユニットAI。コスモゼロの拡張ユニットの一部という設定は、ルーク・スカイウォーカー搭乗するところのX-ウィングに搭載されたR2-D2を彷彿とさせるが、そのコスモゼロが変形するっていうのは完全に「ガウォーク形態」。しかもアナライザーのユニット自体がコスモゼロから分離すると、最後の最後で二足歩行ロボットに変形するって……なんかもうてんこ盛りな感じでおじさん好きだぞ。声はもちろん緒方賢一。

 ヤマトのデザインそのものはパッと見、さほど原作と変化ないが、内部設定の縮尺は変えてある。まぁ原作の縮尺がいい加減だったから、これは仕方ない。でも第一艦橋の真ん中にはコスモレーダーがあってほしかったなあ。本来不要なはずの第三艦橋は、やっぱあんのね。原作に搭乗しない安藤(浅利陽介)なるキャラクターが、古代に「第三艦橋勤務です」と誇らしげに語るセリフに、分かってるやつには「そっか。こいつ死ぬのか」と思わせるあたり、おさえるとこちゃんとおさえてるよなあ。

 波動砲は使いすぎ(特に最初の発進時はやっぱ主砲でしょ)だし、真田さんの分かりやすい解説もないままに初ワープっちゅうのもなんなんだが、例えばドメルの(正確にはゲールの)「じ、自爆装置…」が出てこない反面、似たようなシチュエーションで第三環境がふっとぶし、ドリルミサイルを波動砲口の栓にして完結編を再現するとか、いやもぉ、オールドファンも初見の人も分け隔てなく扱う設定と脚本には脱帽の一言。

 オレの唯一の不満点は、SE(効果音)がまるで違ってたこと。これは別作品で解消されることになる。

 しかし……ヤマトを実写化できるんなら、「アドルフに告ぐ」をNHK大河でやったっていいし、銀英伝をハリウッドで連作実写化したってよかろう?

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